2012年1月アーカイブ

バーでの時間

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トロンコはお酒が得意ではありませんが、よく近くの港町のバーに行きます。

バーに行って、無口なマスターと少ししゃべりして、他のお客さんを見たりその店の雰囲気を楽しんだり、トロンコスペシャルの薄いアルコールのカクテルを飲みながら、本を読んだり、書き物をしたりしています。

バーは不思議な場所だとトロンコはいつも思っていました。

トロンコもそうだけど、皆日常から離れて一人になりたいと思って訪れたりする。

一人になりたければ誰もいないところや、家にいればいいのにバーに来る。

そして、それぞれ日常生活の中にある思い思いのことをしている。

バーで飲むと飲み物の味が良く感じられるように、この場所で本を読むとその文章の雰囲気が変わるし、何か書くとそのバーの雰囲気に影響を受けたりすることが多い。

それはこの店の雰囲気だったり、マスターや他のお客さんの醸し出すものであったりするのだと思うけれど、トロンコにもはっきりとは分かりません。

でもトロンコは家では書けない文章を拾いたくてバーに来るし、バーに行くために気に入っている万年筆とメモノートを持ち、気に入った靴を履く。

一人だけど、そうでない場所。

その微妙なバランスがトロンコの訪れるバーにはあります。

トロンコはこの日もボンクと作ったサマーオイルメモノートにアウロラ88で仕事の原稿の下書きを書いています。

マスターは見慣れた光景なので、トロンコが書き物を始めると、スッと離れて他のお客さんの相手をしたり、グラスを磨いたりします。

トロンコが他のお客さんのことを少なからず気にするように、他のお客さんも書き物をしているトロンコのことが気になります。

トロンコは自分が好きで使っている万年筆を他のたくさんの人に使ってもらいたいと思っているし、ボンクと作ったサマーオイルのメモノートも他の人にも見てもらいたいと思っているので、他の人がトロンコのことを見ることが全く気になりません。

夢中で書き物をしていたトロンコの隣に、このバーでたまに居合わせる紳士が座りました。

紳士はマスターと二言三言言葉を交わして飲み物を注文すると、ツイードの上着のポケットからパイプを取り出して火を点けました。

それでやっと一息つけたのか、トロンコに仕事の手をとめさせて不躾に話しかけたことを詫びながら、サマーオイルのメモノートを指してどこで売っているものなのかと聞きました。

それをとても嬉しく思ったトロンコは紳士に革屋さんのことや印刷屋さんのこと、そしてウエストニューヨークにいるボンクのことを話しました。

紳士は仕事で人の話を聞きながらメモをたくさん取ることが多く、今まで様々なノートやメモ帳を試してきたと言いました。

ひとつの仕事が終わると、書き込んだものは全て暖炉で燃やしてしまうし、書き損じの便箋の裏を使うことができるのでトロンコが使っているサマーオイルのメモノートのようなものがとてもいいかもしれないと、気に入ってくれました。

トロンコはコートやジャケットのポケットに入れる時は薄くして、鞄に入れる時は紙をたくさん綴じて厚くしていること、冬は表紙の革を裏返してバックスキンの温かみを出し、夏場はスムースな面を表にして使っていることを紳士に教えてあげました。

トロンコと紳士はメモ談義に花を咲かせて楽しい時間を過ごしました。

紳士がサマーオイルメモノートをぜひ使ってみたいというので、トロンコは革屋さんと印刷会社を訪ねてみることを勧めました。

紳士はいつもはロンドンのベーカーストリートにいて、この街に相棒と仕事で来ているとのことでした。

シルクハットをかぶり、ステッキを持って店を出て行く、どこかで見たことがあるような紳士の後姿を見送りました。

ボンクと作ったメモノートを他の人が使ってくれることがトロンコはとても嬉しく思いました。

 

 

 

 

WRITING LAB. オリジナル サマーオイルメモノート 取扱店

*Pen and message.

https://www.p-n-m.net/contents/products/OG0057.html

*RIVER MAIL

 http://www.river-mail.com/product/859

 

 

 

バーでの時間.jpg 

「モノの力」

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ボンクもトロンコに負けず劣らずのスロースターターで、イベントなどの後は気が抜けてしまいます。そしていったん気が抜けると気持ちの切り替えがなかなかうまく出来ず、何も手につかず何も考えられないボーッとした「絶不調」な日々を過ごすことがあります。

 

ボンクは毎日が「絶好調」とまでいかなくても「絶不調」な日を極力減らして、「絶好調」といえる日を一日でも増やしたいといつも考えています。

そのためにはモチベーションをコントロールしなければなりません。

同じスロースターターでもボンクからみたトロンコはそのモチベーションコントロールが上手くできているように見えて、ボンクはトロンコに迷惑をかけないためにも、トロンコと一緒にもっとワクワクするモノをつくるためにも、自分のモチベーションを上手くコントロールしようと思うのでした。

 

幸か不幸か不器用なボンクにも、モチベーションを高めるため、維持するためのボンクなりのスタイルがあります。

 ボンクの一日は靴選びから始まりますが、その日の予定を見て、どこへいくのか、だれと会うのかによって靴を選ぶのです。

この靴を選ぶ時間はボンクにとっては楽しい時間でもありますが、その日のモチベーションを左右する大切な時間でもあるのです。

 

靴選びと同じ様にその日のモチベーションを左右するモノがもう一つあります。

それは頻繁に使用する筆記用具です。特に万年筆。

万年筆選びも靴と同様に、どこへ行くのか、誰と会うのか、どのような使い方をするのかによって軸の色やペン先の太さを選びます。

でも万年筆は靴と違い数本持ち歩くことができるので、使う目的がなくてもその日の気分でもう一本持ち歩くお守り的な万年筆もあります。

これもボンクにとってはモチベーションを保つための大切なことなのです。

このお守り的な万年筆は何本かあってそれぞれに思い入れがあり、大切な人からもらった万年筆や何かの記念に購入した万年筆などです。

その中でも特に思い入れがありボンクがよく持ち歩いている万年筆が20年ほど前にボンクが購入したパーカーのデュオフォールドというオレンジ色の軸をした万年筆で、写真家を目指して世界中を旅していたボンクの相棒とも呼べるペンです。

このペンとの出会いはボンクが旅先でボールペンを購入しようとたまたま入った文具店で、ショーケースの中央で一際目立って飾られていました。

当時ボンクには万年筆を使うという考えなど全くなく、当然万年筆の知識も全くなかったのですが、そのペンを見た瞬間から他のものが見えなくなり、後先考えず衝動買いしたのでした。購入時に対応してくれたおばさんの顔や、購入したことで何日も野宿する羽目になったことなど、今でもボンクはハッキリ憶えています。

 

その後、いくつものペンを使いデュオフォールドよりも使いやすいペンや思い入れのあるペン、またペンに限らずボンクにとって大切なモチベーションを高めてくれるモノをボンクはたくさん所有してますが、このデュオフォールドという万年筆がボンクのモチベーションをコントロールする最初のモノであり、ボンクの「モノへのコダワリ」に火をつけたのかもしれません。

 

いつ完成するかはわかりませんがボンクは「モノ」の写真集を作ろうと考えています。幾度となく挫折するたびにパワーをくれた自分が使っている思い入れのモノやパワーをくれた人たちが使っているモノ、つくっているモノ達を集めて。

 

モノの力.jpg

ダックスの鉛筆削り

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トロンコは本当にスロースターターで、年を越してもしばらくボーッとしています。

でも今回は自分たちが理想とするものを作ろうという目標に向かって一生懸命考えてくれているボンクのことを考えると、何かしなければいけないという気持ちになっていました。

 

何かアイデアが浮かんで書きたいと思った時、すぐに書き始めるのではなく、そのアイデアをさらに頭の中で練ってから書き始めた方が良いことはトロンコも経験的に知っていましたし、文章の書き方について述べられた良い本にも書かれています。

しかし、何かしなければならないと思うけれどアイデアが浮かばない時にするべきことは、取りあえず何か書いてみるということだと最近知りました。

 

ボンクと作ったメモノートに何かを書いてみるといったように、取りあえず手を動かすことで、少しずつ頭が整理されていきます。

トロンコは手を動かしながら、自分のこんがらがった頭の中を文字を書くことで少しずつほどいていき、これから自分たちがするべきことを導きだそうとしました。

 

そんな時はいつも使う万年筆ではなく、鉛筆を使います。

 

本当に質の良い日本の三菱ハイユニやトンボ、デザインと少し硬めの書き味が気持良いドイツのステッドラーとファーバーカステル、少しマニアックな存在だけどものすごく上質なスイスのカランダッシュ、カサカサした懐かしい書き味とレトロっぽいチープさが良い味を出しているチェコのコヒノールとアメリカのタイコンデロガーなど、鉛筆について挙げたらいくらでも出てきます。

 

それらの微妙な握りの感触、書き味の違い、味わい深くて個性的な軸のデザイン、そういったものを感じながら何種類もペントレーに転がしておくだけで、仕事を始める気分が高まってきます。

 

そして鉛筆を使うのになくてはならないものが鉛筆削りです。

 

小さなポケットナイフから電動シャープナーまで様々な鉛筆削りがありますが、トロンコがいつも使っているのはダックスの小さな鉛筆削りです。

 

トロンコがまだ幼い頃にお母さんが買ってくれたもので、喜んだトロンコは鉛筆削りの革ケースの内側にボールペンで名前を書き、それが今もくっきりと残っています。

現在もダックスの鉛筆削りは、同じように革ケース入りで発売されていて重厚な金色の真鍮製ですが、トロンコのものは年代が古いためアルミ製でした。

お母さんはとてもモノ好きで、いろんな世界の一流品を持っていましたし、子供にも当時多かったコピー商品など持たせることはありませんでした。

ダックスの鉛筆削りも、ステッドラーの色鉛筆も、モンブランの万年筆もトロンコは幼い頃に知りました。

 

鉛筆削りに話を戻すと、トロンコの学校では小さなナイフで鉛筆を削るという教育方針を掲げていて、それに何となく反発心を抱いてあえてダックスばかり使っていたのでした。

しかしその後しばらくはシャープペンシルばかりを使っていて、鉛筆は長く使っていませんでした。

長年放っておいたにも関わらず、ダックスの鉛筆削りはよく削れました。

いろんな種類の鉛筆削りがありますが、もしかしたらこのダックスの鉛筆削りが一番きれいに鉛筆を削ることができるかもしれないとトロンコは思うようになりました。

 

芯先の長さを3段階に調整できる妙に精度良く動くダイアルがあって、削り出しなので小さくてもすごくしっかりした存在感のあるこの鉛筆削りの良さが子供ながらにも分かっていたような気がします。

 

ダックスの鉛筆削りはこんなふうに、子供の頃の記憶も呼び起こしてくれるのです。

 

DAXの鉛筆削り.jpg

ボンクの夢

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新しい年2012年が始まったばかり、ボンクはウエストニューヨークの自宅に戻りお気に入りの机で年末にトロンコと話し合った新たなモノ作りのアイデアを練っていました。

 

作るモノはすでにいくつか決まっていて、デザインもほぼ決まっています。あとは自分たちのモノ作りで一番大切な味付け"遊び心"を加えていきます。

"遊び心"が詰まった机に見合った、またはそれ以上の"遊び心"を加えれば彼らの作業は最終段階に入っていきます。

二人にとってはこの最終段階の"遊び心"を考えることが一番難しい作業でもあり、一番楽しい時間でもあるのです。

 

ボンクはこの一番大切な味付け"遊び心"のアイデアを考える時、いつも街へ出て雑貨屋さん、靴屋さん、鞄屋さん、カメラ屋さん、時計屋さん、電器屋さん、工具屋さん、カフェ、ギャラリーなど、自分が興味のあるお店を回ります。

そこで商品だけでなくお店の什器や照明、内装で参考になるものを探したりするのです。

また、駅にあるもの、港にあるもの、空港にあるものそして街を歩く人達が持っているものを見たりします。

そこら中にヒントが転がっている街中をカメラとメモノートを持ちひたすら歩きまわります。

 

中でもボンクの一番のお気に入りはオモチャ屋さんのミニカーとブロックのコーナーで、特に時間をかけ一つ一つじっくり見て回ります。

これらのコーナーには、子供を楽しませるための工夫や仕掛けがされた商品がたくさんあり、子供だけでなく大人も楽しませてくれる、二人のモノ作りのお手本のようなモノがたくさん見れるところなのです。

 

アイデアを探しにきたつもりがいつの間にかそんなことも忘れ思いっきり楽しめる場所、大人になっても子供に戻ってワクワクする場所、モノ作りの延長で将来こんな場所を作ることができればきっと素敵な場所になるに違いないとボンクは考えていました。

 

「秘密基地のような机で自分の趣味が出来たり、仕事が出来ればどれだけ楽しいか」から始まったトロンコとボンクのモノ作りですが、秘密基地のような机から秘密基地のような部屋になり秘密基地のような家になりオフィスになりビルになる。

モノ作りをもっともっと広く大きく考えいく。

 

そしてその過程を自分たちはもちろんのこと、たくさんの人にとことん楽しんでもらう。

 

勢いで行動する単純なボンクのあまりにも壮大で無謀な計画は始まったばかりです。

 

案外ボンクはトロンコとならそれくらいの事は簡単にできるだろうと思っているのかもしれません・・・

 

 

ボンクの夢・画像.jpg 

 

 

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