バーでの時間

| コメント(0) | トラックバック(0)

トロンコはお酒が得意ではありませんが、よく近くの港町のバーに行きます。

バーに行って、無口なマスターと少ししゃべりして、他のお客さんを見たりその店の雰囲気を楽しんだり、トロンコスペシャルの薄いアルコールのカクテルを飲みながら、本を読んだり、書き物をしたりしています。

バーは不思議な場所だとトロンコはいつも思っていました。

トロンコもそうだけど、皆日常から離れて一人になりたいと思って訪れたりする。

一人になりたければ誰もいないところや、家にいればいいのにバーに来る。

そして、それぞれ日常生活の中にある思い思いのことをしている。

バーで飲むと飲み物の味が良く感じられるように、この場所で本を読むとその文章の雰囲気が変わるし、何か書くとそのバーの雰囲気に影響を受けたりすることが多い。

それはこの店の雰囲気だったり、マスターや他のお客さんの醸し出すものであったりするのだと思うけれど、トロンコにもはっきりとは分かりません。

でもトロンコは家では書けない文章を拾いたくてバーに来るし、バーに行くために気に入っている万年筆とメモノートを持ち、気に入った靴を履く。

一人だけど、そうでない場所。

その微妙なバランスがトロンコの訪れるバーにはあります。

トロンコはこの日もボンクと作ったサマーオイルメモノートにアウロラ88で仕事の原稿の下書きを書いています。

マスターは見慣れた光景なので、トロンコが書き物を始めると、スッと離れて他のお客さんの相手をしたり、グラスを磨いたりします。

トロンコが他のお客さんのことを少なからず気にするように、他のお客さんも書き物をしているトロンコのことが気になります。

トロンコは自分が好きで使っている万年筆を他のたくさんの人に使ってもらいたいと思っているし、ボンクと作ったサマーオイルのメモノートも他の人にも見てもらいたいと思っているので、他の人がトロンコのことを見ることが全く気になりません。

夢中で書き物をしていたトロンコの隣に、このバーでたまに居合わせる紳士が座りました。

紳士はマスターと二言三言言葉を交わして飲み物を注文すると、ツイードの上着のポケットからパイプを取り出して火を点けました。

それでやっと一息つけたのか、トロンコに仕事の手をとめさせて不躾に話しかけたことを詫びながら、サマーオイルのメモノートを指してどこで売っているものなのかと聞きました。

それをとても嬉しく思ったトロンコは紳士に革屋さんのことや印刷屋さんのこと、そしてウエストニューヨークにいるボンクのことを話しました。

紳士は仕事で人の話を聞きながらメモをたくさん取ることが多く、今まで様々なノートやメモ帳を試してきたと言いました。

ひとつの仕事が終わると、書き込んだものは全て暖炉で燃やしてしまうし、書き損じの便箋の裏を使うことができるのでトロンコが使っているサマーオイルのメモノートのようなものがとてもいいかもしれないと、気に入ってくれました。

トロンコはコートやジャケットのポケットに入れる時は薄くして、鞄に入れる時は紙をたくさん綴じて厚くしていること、冬は表紙の革を裏返してバックスキンの温かみを出し、夏場はスムースな面を表にして使っていることを紳士に教えてあげました。

トロンコと紳士はメモ談義に花を咲かせて楽しい時間を過ごしました。

紳士がサマーオイルメモノートをぜひ使ってみたいというので、トロンコは革屋さんと印刷会社を訪ねてみることを勧めました。

紳士はいつもはロンドンのベーカーストリートにいて、この街に相棒と仕事で来ているとのことでした。

シルクハットをかぶり、ステッキを持って店を出て行く、どこかで見たことがあるような紳士の後姿を見送りました。

ボンクと作ったメモノートを他の人が使ってくれることがトロンコはとても嬉しく思いました。

 

 

 

 

WRITING LAB. オリジナル サマーオイルメモノート 取扱店

*Pen and message.

https://www.p-n-m.net/contents/products/OG0057.html

*RIVER MAIL

 http://www.river-mail.com/product/859

 

 

 

バーでの時間.jpg 

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://writinglab.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/15

コメントする

このブログ記事について

このページは、旅の扉 writing lab blog 管理人が2012年1月31日 12:46に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「「モノの力」 」です。

次のブログ記事は「サマーオイルメモノートの楽しみ方」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。