2012年2月アーカイブ

インクの色

| コメント(0) | トラックバック(0)

万年筆は好きなインクの色を入れて楽しむことができるものなのに、トロンコは

ブルーブラックばかりを使っていました。

 

トロンコの住む町の本屋さん兼文房具屋さんにペリカンとパーカーの黒とブルー

ブラックしか置いていないこともその理由ですが、一番大きな理由はトロンコが

万年筆のインクの色を楽しむことができないというところでしょうか。

 

たまに都会に行った時に、大きな文房具屋さんで喜んでそのお店のオリジナル

インクや、日頃目にしないメーカーのインクなどを買って使ってみたりしたことが

ありますが、しばらく使っただけですぐに飽きて使わないままになっていました。

 

いろんな色のインクを使ってみてトロンコが思ったことは、インクの色は自分の血の

色だということでした。もう少し分かりやすく言うと、インクの色は自分の心の色で、

どんな簡単なメモ書きでも自分らしくない色は使いたくないと思っているのです。

 

だからボンクが自分たちだけの色のインクを作ろうと言い出したとき、新しい色を

自分が使いたいと思うか少し心配でした。

そんなところでトロンコは保守的だったのです。

 

トロンコの町に住む人たちはさらに保守的で、何においても冒険しない。自分たち

ずっと守ってきた暮らしのペースを続けることだけを考えて、実際そのように

暮らしていました。

そんな風に暮らしていけたらそれはそれでとても素敵なことだと思います。

でも周りの状況は少しずつ変わり始めていて、世の中の大きな動きはトロンコが

住む町にも影響を及ぼしていて、今までの暮らしを守ることが難しくなっています。

 

何十年も変わっていなかった町の風景は、人の流れとともに変わり始めています。

静かに、でも大きく揺れる世の中を思いながら、トロンコは物作りやインクの色に

ついて考えました。

世の中が変わっても変わらない価値を持つものを作りたいと改めて思いました。

 

 

トロンコが作りたいインクの色は既に決まっていましたが、ボンクがどう思っているか

分からないので、会って話し合いたいと思いました。

 

トロンコとボンクは、神戸の女将さんのペンショップでインクの色について話し合い

ました。女将さんは相変わらずで二人を子供のように扱います。

でもインクの色について二人が話している時は、色々親身になって一緒に考えて

くれました。

 

ボンクもトロンコと同じように、いつまでも失われない新鮮さを表しながら、落ち着

た色。原稿書きにも手帳にも、日記帳にも使いたくなる色としてグリーンのインク

作りたいと思っていました。

グリーンは二人が好きな金のキャップの万年筆とも合うし、二人の友情を表すと

したらグリーンではないかと意見が一致したのです。

 グリーンは二人の心の色でした。

 

インクの色が決まったので、二人は瀬戸内海に面したのどかな田舎町にある

インク研究所を訪れました。

目の前に小さな島々が浮かぶ穏やかな海。後ろにはあまり高くない山々がありま

す。天狗がその上に立って、人間たちを見下ろしていたという伝説のあるテングン

ジョウという岩も見える。

インク研究所の博士は二人が作りたいインクの話を聞いてくれました。

 

科学者なのに、その色から連想される情景や名前を聞いて色を作り出すことを

得意としていて、一通り二人の話を聞くと、インクを作って送ると約束してくれました。

 

どんな感じのインクになるか、出来上がる日が早くも待ち遠しく思いながら、二人

単線のローカル線に乗り込みました。

 

そして、このグリーンのインクには"クワドリフォリオ"という名前をつけることになり

ました。幸運を呼ぶお守り、「四葉のクローバー」という意味のイタリア語で、この

インクにピッタリの名前だと思いますが、なぜその名前がついたのかまた今度。

 

 

*WRITING LAB.オリジナルインク 「クワドリフォリオ」は現在製作中です。

入荷次第ご案内させていただきます。(2月28日時点) 

 

 

インクの色.jpg

革封筒を作りたかったもう一つの理由

| コメント(0) | トラックバック(0)

トロンコと一緒に作ったモノたちはボンクにはなくてはならないモノになっています。特に革封筒。

 

ボンクが家で使っているライティングデスク(いつもオレンジの服を着た木工家に作ってもらったトロンコとお揃いの机)には、レザーのライティングマットが埋め込まれています。

ボンクが万年筆を使う時は、そのレザーのライティングマットの上に紙を一枚だけ置き万年筆を走らせます。

その時の書き心地がたまらなく好きでした。それに気分も盛り上がります。

旅に出ることが多いボンクは移動の列車や飛行機、またホテルでライティングマットを使うことができればといつも思っていました。

市販されているライティングマットはそこそこの大きさと厚み、重さがあるため携帯するには向いていなかったのです。

 

万年筆を外出先で使用することが多いボンクにとって、携帯できるレザーのライティングマットはペンケースと同じくらい必要なアイテムだったのです。

 

ボンクの革封筒の中身はアイデア用の雑記帳と10枚ほどの原稿用紙です。

仕事でも私用でも万年筆を持って外出する際には3本差し(細字、中字、太字の万年筆が入った)のペンケースと一緒に必ず革封筒も鞄に入れ持ち歩いています。

 

仕事の打ち合わせの時には革封筒からアイデア用の雑記帳を取り出し、革封筒をライティングマット代わりにして、中字の軟らかめの万年筆で打ち合わせの内容を走り書きで記録します。

外出先で時間に余裕があるときは、トロンコと同じくカフェで革封筒から原稿用紙を取り出し、革封筒をライティングマット代わりにして太字の万年筆で原稿を書きます。

 

列車や飛行機での移動時も書類や原稿を気分良く書くことができます。 紙類を入れるだけなら普通の紙封筒で十分ですが、革封筒は普段彼らがよく使う雑記帳と原稿用紙を入れられ、ライティングマットとしても使うことができるのです。

さらに、中に入れる紙類の量を増やし厚みを出すと、立ったまま書くこともできます。

 

ボンクはダイアリーやノートの下敷きにも使っています。

それがボンクが革封筒を作りたかったもう一つの理由でした。

 

さらに冬の寒さが増してきているボンクの住むウエストニューヨークの夜。

鞄にカメラと数本のレンズ、ペンケース、ダイアリー、革封筒を詰めこみ、最後にコートのポケットにメモノートを無造作にを突っ込み部屋を出ようとしていました。次のモノ作りはすでに始まっていました。

 

神戸でトロンコと落ち合い万年筆のインク作り、その後フィレンツェへ移動しペンケース作りと今回の旅は少し長くなりそうです。

ボンクが好きな冬のニューヨークの景色も今年は今日が見納めになるかもしれません。

 

少し寂しい気もしましたがトロンコのとぼけた顔を想像したらそんな寂しさも一気に吹き飛んでいきました。

 

 

WRITING LAB. オリジナル革封筒 取扱店

*Pen and message.

https://www.p-n-m.net/contents/products/OG0059.html

*RIVER MAIL

 http://www.river-mail.com/product/893

 

 

革封筒もう一つの理由.jpg

革封筒を作る

| コメント(0) | トラックバック(0)

トロンコとボンクは何か欲しいと思うものができると、すぐにお互いに連絡を

取り合い、そのモノについて二人で考えます。

言い出すのはいつもボンクで、ボンクと話しているうちに最初ピンと来てい

ないトロンコもその気になってくるというのがいつものパターンです。

トロンコは何か欲しいものができた時にそれを作り出そうとするボンクの

情熱を尊敬していましたし、ボンクのように熱い人になりたいと思っていました。

 

今回もボンクはトロンコに、原稿用紙を入れる封筒を上質な革で作ろう

と持ちかけました。

二人とも原稿用紙を使って、それで原稿も手紙も書いていましたので、ビニール袋から出すとバラバラになってしまう原稿用紙を、何とかしたいと思っていたのです。

 

原稿用紙を入れる革の封筒。

 

ファイルではなく封筒というところがミソなのだと、トロンコにはボンクの考えが分かりましたので、二人はすぐにボンクの昔からの知り合いの革屋さんを訪ねることにしました。

ニューヨークにある革屋さんを訪ねるため、イギリスに住むトロンコは朝早くの飛行機でとなり街を発ちました。

ニューアーク・リバティ空港にはボンクが愛車コルベットで迎えに来てくれていて、革屋さんに向かいました。

 

ボンクが革封筒の話をすると、陽気な革屋さんは二人の好みに合った革をいくつか用意してくれました。

トロンコとボンクの革の好みはとても近くて、均一できれいな革よりも傷やムラがあっても艶やかな革が好きでした。

ボンクはそういう革を色気のある革と言っていましたが、トロンコのボキャブラリーに色気という言葉はありませんでした。

革屋さんはブラジルにサッカー留学していた元サッカー選手で、フットワーク同様、軽妙に言葉を操る話し上手な人で、トロンコもすぐに好きになりました。

革屋さんが出してくれた革の中で二人が一目で気に入った革が、ボーノアニリンという革でした。

深みのある色合いや手触りの良さが特に素晴らしかった。

まるでイタリアの革のような名前ですが、北米の革でした。

 

封筒の貼り合わせも革屋さんが引き受けてくれました。

「また電話する。」というボンクと別れ、また7時間かけて地元に帰ってきてから数日して、革屋さんから革の封筒が送られてきました。

きっとボンクのところにも同じものが届いていると思います。

 

トロンコはすぐに原稿用紙を入れてみました。

するとボンクがなぜ封筒の形にこだわったのかすぐに分かりました。

縫製せずに中央で貼り合わせているため、端や隅まで紙を入れることができるという実用的な理由があったのでした。

フタを付けなかったのは、鞄の中からダイレクトに中身を取り出せるためでした。

 

艶やかな皮の質感と実用的な構造の革封筒に原稿用紙を入れてトロンコは早速原稿書きをよくする隣街のカフェに向かいました。

 

WRITING LAB. オリジナル革封筒 取扱店

*Pen and message.

https://www.p-n-m.net/contents/products/OG0059.html

*RIVER MAIL

 http://www.river-mail.com/product/893

 

 

革封筒を作る.jpg

サマーオイルメモノートの楽しみ方

| コメント(0) | トラックバック(0)

2月に入りここのところニューヨークらしい厳冬の日々が続いています。

この時期のニューヨークの平均気温は0から10、カナダからアップステートやペンシルバニアを抜けて吹き付けるカナダ降しの冷たい風も手伝いますます体感温度を下げ、これからさらに冬の厳しさが増していきます。

 

ボンクはかなりの寒がりですがこの時期のニューヨークがとても好きです。

空は青く、風は早く、雲もでないため日中、夜間ともに何処までもクリアーに見える景色、ニューヨークの冬の風物詩ともいえる路上のスチームの白い湯気、冬のお洒落を楽しむ人達。

世界中をカメラ片手に旅してきたボンクは冬のニューヨークに魅せられ、この街を拠点に夢を叶えようと十数年前に移り住みました。

 

街の風景やスナップ写真を撮りながらハドソン河を挟んだ対岸ウエストニューヨークで暮らしていたボンクでしたがここ数年は旅にも出れず夢をあきらめかけていた生活が続いていました。

 

そんなボンクの生活に新しい風が吹いたのが去年から始まった親友トロンコとのモノ作りでした。

キャンバスのノートカバーから始まり机、メモノート。

写真家であるボンクにとっては去年トロンコと作ったモノたちはすべてなくてはならないもになっていました。

特にメモノートは、撮影時のデータや普段のちょっとしたメモ書きなど、仕事の時もプライベートでも外出時は常に携帯し、忘れて外出した際にはわざわざ取りに帰るほど気に入って使っています。

 

ボンクはこのお気に入りのメモノートをさらに楽しく使うためにいろいろなことを考え、取り入れています。いわゆるカスタムです。

綴じるためのひもを革職人にもらった靴ひもに変えてみたり、その靴ひもの先に付ける金具にこだわったり、メモ紙の色を変えてみたり。何の飾りっ気もないメモノートがボンク色に染まっていきます。

 

今ボンクが考えているのは表紙の革に薄いシルバーのプレートを付け名前を入れること。好きな言葉や、簡単なデザインの模様もいいかも・・・。

また、使わなくなった世界地図や海図、設計図などを探しメモノートのサイズにカットし穴をあけメモ用紙に。カラフルなポスターや広告もいいかも・・・など。

完成して二人の元へ届いたはずのメモノートでしたが、このメモノートにはさらに自分達が使いたくなるように完成させていく楽しみがあることにボンクは気付きました。

トロンコはメモノートをどのように使っているのだろうか?

また、メモノートを使ってくれている人たちもどのようにして使っているのだろうか?

ボンクはとても気になっています。

 

 

 

 

今年はもっとたくさんの自分たちが使いたいモノを作ろうとトロンコとボンクは計画しています。

間もなく、去年から企画していたモノがいくつか出来上がり二人の元へ届きます。

このブログを読んでいただいてる方々にのみ、トロンコとボンクが今何を作っているのかこれから何を作ろうとしているのかを伝えていければと考えております。

また、「こんな使い方をしてる」や「こんなモノを作って欲しい」「こんなアイデアがある」など、皆様のご意見があればお聞かせ願いたく思っております。

 

トロンコとボンク、二人の情熱が注ぎ込まれた「モノ作り」。

企画から二人の元へ届くまでの過程を是非お楽しみください。

 

 

WRITING LAB. オリジナル サマーオイルメモノート 取扱店

*Pen and message.

https://www.p-n-m.net/contents/products/OG0057.html

*RIVER MAIL

 http://www.river-mail.com/product/859

 

 

メモの使い方.jpg 

このアーカイブについて

このページには、2012年2月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2012年1月です。

次のアーカイブは2012年3月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。