2012年3月アーカイブ

フィレンツェの工房へ

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トロンコとボンクは革工房クワドリフォリオのご夫妻を訪ねてフィレンツェにやって来ました。

トロンコがフィレンツェを訪ねるのは2回目、ボンクは数え切れないほど来ています。

トロンコはフィレンツェの街が大好きでした。

世界中から観光客の人たちがたくさん訪れて、皆がとても楽しそうにしています。

この街を訪ねる人たちは誰もが幸せそうにしていて、それがこの街の雰囲気になっているのです。

この街の雰囲気に身を置けることがとても幸せに感じられました。

観光地を侮る人がいますが、トロンコは観光地には観光地の楽しさがあると思っています。

 

でもこの街で見られる幸せは、皆がそれぞれの人生の中でも最も幸せだと思っている時間で、日常に戻ればまた静かで厳しい時間の中に身を委ねなければならない。

そう、自分の力で生きていくということは厳しいことだとトロンコは思います。

沈鬱な低い空のトロンコの祖国に比べると楽園のように見えるこの土地にも、模造品の絵画を警察の目を盗んで露天で売るアフリカ系の若者たちや、物乞いのジプシーの少女がいる。

毎日4時間も昼寝して、週末にいつもピクニックに出掛ける優雅な生活をしているように見えるクワドリフォリオのご夫婦もきっと大変だったと思います。

フィレンツェには世界中から革製品の作り方を習いたいと思い若者が集まっていますが、クワドリフォリオのご夫妻も同じく祖国を飛び出して来たのです。

 

言葉もあまり話せないまま、革の扱い方を習いたいという情熱だけを持ってフィレンツェに来ました。

自分たちで教えてくれる師匠を見つけて修行させてもらえるようになって、二人で工房を始めることができるようになったのも、二人に四葉のクローバーがついていたのかもしれません。

 

ラッキーな二人はもちろん大変な努力もしてきただろうし、将来に対する不安もあると思うけれど、そんなことを全く表に出さずとても明るく愉快です。

トロンコとボンクは二人のそんなところが好きで、一緒に革製品を作りたいと思ったのでした。

 

まずはフィレンツェのしぼり技法を生かしたペンケースを作ろうということになって話し合いました。

 

基準になるペンのサイズ、形状など朝から晩まで話しました。

ペンケースの仕様が決まったのは夜遅くでしたが、4人はとても楽しく話をして、時間はあっという間に過ぎていったのでした。

クワフォリフォリオのご主人は靴を専門に作っていて、靴が好きなボンクとトロンコはクワドリフォリオのご主人が作る靴もいつか履いてみたいと思いました。

ご夫妻はしばらく時間が欲しいと言っていましたが、トロンコとボンクはいつまでも待つつもりでした。

なぜならクワドリフォリオご夫妻はイタリアの時間の中で生きているのですから。

 

フィレンツェの工房へ.jpg

理想のペンケース

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ボンクは机の上の10本の万年筆をぼーっと見ていることがたまにあります。
ぼーっと見ていると一本一本手に入れた当時の時代背景が蘇ってきます。
どんな時代だったか、そのときどこで何をしていたか、当時周りにいた仲間や恋人の顔など・・・10本の万年筆が10枚の写真を見ているような感覚になるのです。

トロンコとボンクそれぞれの机の上には10本の万年筆を収納することができるコンプロットという名前の木製のペンケースが置いてあります。 二人の机を作ってくれた木工家のコダワリが詰まったペンケースです。

それぞれのペンケースに入っている万年筆は決してマニアが喜ぶような希少価値のある万年筆ではありませんが、二人にとっては一本一本に思い入れがあり、どれもよく使い込まれています。
そんな10本の中からその日使いたい万年筆を選ぶことが二人の毎朝の日課になっています。

外出先でも頻繁に万年筆を使うトロンコとボンクにとって、万年筆を何本か収納できて、鞄に入れて持ち歩けるペンケースはとても重要なアイテムです。
荷物を極力少なく、軽くしたいボンクは普段ソフトなレザーが使われている3本差しのペンケースを使っています。
ボンクのペンケースには中字、太字の2本の万年筆と、ボンクがいつもつけている香水を入れたアトマイザーが入ってます。
ジャケットの内ポケットにも入る薄型ですが、ペンをしっかりと保護してくれて、ペンが落ちないようフラップもついています。ペンの出し入れもしやすく、デザインもシンプルなのでどんな場所へでも持って行けます。 これ以上改良する点がないくらい完成度が高くボンクはとても気に入っています。

トロンコもボンクも今までいろいろなペンケースを見て使ってきました。
デザインが優れているモノ、実用性が高いモノ、凝ったつくりのモノ、素材や細部のクオリティにこだわったモノなど、安価なものから高価なものまで市販されているペンケースはどれもよく出来ています。
しかしボンクはいつも物足りなく感じていました。

インク作りで知り合ったフィレンツェに工房を持つ革職人夫婦に作ってもらうために、トロンコとボンクは自分達の理想のペンケースについてそれぞれの思いや考えを話し合いました。ボンクが物足りなく感じていた色についても。

意見がまとまり、これから二人はフィレンツェへ向かいます。


トロンコとボンクが考えたペンケースは革職人のご夫婦が得意とする絞り技法を使ったペンケースです。

ペンケース自体はとてもシンプルですがちょっと面白いアイデアがいくつか組み込まれています。

4月の製品化を目指していますのでお楽しみに。

 

ペンケース.jpg

オリジナルインクQuadrifoglio( 四葉のクローバー)

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トロンコとボンクが神戸のペンショップでインクの色について話し合っていると、周りにいた人たちが話に加わってとても盛り上がりました。

インクの色にはみんな興味を持っているようで、自分が今使っている万年筆をもっと楽しく使うことができそうなインクを探していることが分かります。

 

そんな人たちの中にフィレンツェから来た革職人の夫婦がいました。

二人はフィレンツェで師匠に付いて革の修行をして、ご主人は靴作りを、奥さんは絞り技法の革小物作りをマスターして、フィレンツェに工房を構えていました。

Quadrifoglio(クワドリフォリオ・四つ葉のクローバー)という名前の革の工房にトロンコとボンクはぜひ行ってみたいと思いました。

二人はとても明るくて、トロンコとボンクはすぐに好きになりました。

ぜひ、一緒に革製品作りをしてみたいと思いました。

 

 

ところで作りたいインクの色は決まっていましたが、インクの名前が決まっていません。

自然の中にある、誰が見ても良い感じを抱く葉っぱの色。

トロンコもボンクも革職人の夫婦と出会って、工房の名前を知った時からインクの名前は決まっていました。

この出会いをインクの色にすることによって、記念すべきものにもできるとも思いました。

 

幸運を呼ぶ四葉のクローバーのイタリア語の名前のインクなんてとても素敵です。

二人は勇気を出してインクにQuadrifoglioという名前を付けたいと2人に伝えました。

2人は快く承諾してくれて、自分たちの工房の名前がインクの名前になったことをとても喜んでくれました。

 

トロンコもこのご夫婦も自分の好きなことで生きていくために、自分の時間の全てをそれに使っている。

歌を歌ったり、ギターを弾いたり、カヌーに乗ったり、山に登ったりという趣味のある人の話を聞くといいなあと思うこともありますが、自分の時間の全てを仕事にまつわる時間とも言える生き方を自分が選んだのだからその中で楽しく生きていこうと思っていました。

 

トロンコが万年筆を使うのは書くことが楽しいからでした。

 

万年筆のインクの文字で埋め尽くされた自分のノートを見るのも楽しいし、万年筆のペン先のフィーリングを味わいながら書くのも楽しい。

万年筆を仕事で使うことが楽しいから、希少な万年筆を集めたりすることには興味はありませんでした。

 

自分が使うひとつひとつのものに何かまつわる自分なりの想いや理由があって、それらのものを大切にしながら使いたいと思う。

今回の出会いから生まれたインクはまさにそんな想いや理由のあるものです。多くの人に幸運のお守りにしていただけるインクになればいいなあと、トロンコは思っています。

 

 

クアドリフォリオ.jpg

「世界観」

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本当に自分が必要とし、使いたいモノは何なのか?

トロンコとモノ作りをする前はそんなことを考えることはありませんでした。

 

モノ作りのパートナーでもあり、兄貴的な存在でもあるトロンコには上手に恰好よく自分のものにしているモノが何点もあります。

 

トロンコがいつもしている腕時計もその一つです。

時計好きから見れば決して皆が欲しがるような価値のあるモノではないのですが、トロンコはその腕時計を何年も大切に使い、今ではトロンコの体の一部のようになっています。それがとても恰好よく見えるのです。

 

トロンコが普段何気に使っているペリカンやアウロラの万年筆もそうですし、いつも使っているブルーブラックのインクも、ボンクからはブルーブラック色というよりトロンコ色に見えるのです。

 

二人の机を作ってくれた木工家もそうです。木工家は着るモノ、持つモノの大半をオレンジ色にこだわり続けています。

とても派手に見える色ですが、木工家はこの色をすごく自然な感じで恰好よく使いこなし、ボンクからはオレンジ色というより木工家色に見えるのです。

 

彼らには流行り廃りや自分に似合う似合わないなど全く関係なく本当に自分達が必要とし、使いたいモノを使い、そしてそれらを時間をかけて確実に自分のものにし世界観を作っている。モノを使うことに対する彼らの美学なのかもしれません。

 

ボンクは今までいろいろなモノを見、使ってきました。

欲しいモノを見つけるとそれを手にいれることが目標になり、手に入れるとしばらく使いまた違う目標とするモノを探す。

ボンクはこれを繰り返してきました。

 

ボンクは最近思うようになったことがあります。

 

今自分が使っているモノを本当に自分のものと言えるように使い、そのモノで世界観を作っていきたい。

トロンコとのモノ作りが単なるモノ作りで終わらず、美学や哲学も結びつけたものにしていきたい。

自分の価値観・世界観について考えるボンクなのでした。

 

 

世界観.jpg

 

 

 

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