2012年5月アーカイブ

トロンコ靴を誂える

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ボンクの影響で革靴がとても好きになったトロンコは、靴に関する雑誌を見たり、インターネットで靴について調べたりするようになりました。

そして本当に少ないけれど、いくつかの靴を買って気分良く履いたり、手入れを楽しんだりしていました。

 

トロンコは自分の持ち物はなるべくイギリス製のものを使いたいと思っていて、王室御用達のロイヤルワラントを授けられたトリッカーズの靴が自分の好みだと思っていました。

装飾がなくシンプルなものを好むトロンコでしたが、靴の好みは他のものと違っていて、ウイングチップにメダリオンのたくさん入ったようなものが好みだと早い段階で気付きました。

トリッカーズに惹かれたのも、代表作であるカントリーシューズがそのようなデザインだったからです。

形もロングノーズやトゥが尖っていたり角張っているものは、自分にはカッコ良過ぎて似合わないと思っていて、少し丸みのあるポッテリとしたクラシックなものが好きでした。

 

ウイングチップやメダリオンも靴をよりクラシックな印象にしてくれるので好んでいたのかもしれません。

靴屋さんでしつこいほど試し履きをしてサイズを決めるトロンコでしたが、今持っている靴がもう少し自分の足にフィットして欲しいと思っていました。

でも既成靴では決まったサイズの中から一番自分の足に近いものを選ぶしかありませんので、完全にフィットするものを手に入れることはなかなか難しい問題でした。

 

トロンコがよく行って、原稿書きをする港町のバーがあります。

バーには様々な人が来ますが、皆革靴に興味があって、それぞれこだわりを持っています。

「あの店のオリジナルはよくない。」

「あの店でウエストンを買うときついのを勧められる。」とか靴の情報交換もよく話の中で出てきて、トロンコもそれらを参考にしていました。

男たちにとって靴の話は何時間でもできるとても楽しい話なのです。

 

トロンコがなかなか完璧にフィットする靴がないと言うと、皆「それは誂えるしかない。」と口々に言いました。

そんな話の中で、トロンコはフィレンツェの革工房クアドリフォリオのことを思い出しました。

彼らはオーダー靴を主に作っていて、独立したばかりなので値段も安めだけど、腕は良くてとても良い靴を作ります。

そしてどんなものも器用に作る懐の深さもあるので、好みのデザインで作ってくれるのです。

イタリアのスリムなかっこいい靴は似合わないと思っていたトロンコは、イギリス風の靴をオーダーで誂えたいと思いました。

 

久しぶりに再会した2人は、トロンコが訪れたことを心から喜んでくれました。

そして希望のデザインのものを作ると言ってくれたので、用意していた雑誌の切り抜きを見せながら一生懸命説明しました。

ウイングチップにメダリオンがたくさん入っていて、先が少し丸みのあるデザイン。それはどちらかというとイギリス靴に多く見られるものなので、彼らが何と言うか心配でしたが、快く引き受けてくれました。

 

トロンコは靴を誂えるのが初めてで、型紙を取りながら採寸することに慣れていなかったので、少し緊張しながら採寸しました。

でも彼らは当然そんな作業に慣れていますので、トロンコがリラックスできるように話し掛けながら、テキパキと採寸していきました。

 

採寸を終えると、すぐにトロンコの靴作りに取り掛かると言ってくれて、2ヵ月後に仮履きできるものを完成させると約束してくれました。

仮履きでサイズを確定して靴を完成させますが、採寸から完成まで大体3ヶ月から4ヶ月かかるようです。

 

工房を構えてまだ日が浅く暮らしは楽ではないけれど、自分たちが好きなことを生活の糧にできる毎日が、すごく楽しいと二人は言いました。

この人たちのためにも、作品を多くの人に教えてあげたいと思いました。

靴が完成するまで4ヶ月、その日が待ち遠しくて仕方ないとトロンコは思いながら、工房を後にしました。

 

 

 

靴を誂える.jpg

思い出がつまった革ジャン

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ボンクは毎年この時期になると革ジャンの手入れをします。

一着一着、ブラッシングで隙間につまった埃を落とし、保湿クリームを塗りハンガーにかけ秋まで休ませます。「A-2」や「G-1」などのフライトジャケットは洗濯機で丸洗いしそのまま乾燥機にかけます。

ボンクの初めての革ジャンは「A-2」と呼ばれるフライトジャケットでした。

学生時代ボンクは古着屋でアルバイトをしていました。二か月に一回、オーナーが買い付けてきた商品がダンボール50箱から60箱届きます、ワクワクしながらダンボールを開け検品し、値付けをしていきます。そしてアルバイト代の大半はここで消えていくのでした。

A-2」との出会いもこの作業中でした。いつものようにダンボールを開けるとラフウェア社の珍しいデッドストックの「A-2」が出てきました。大量の荷物を検品しながらも常にボンクの目はデッドストックの「A-2」に。

検品が終わりボンクはオーナーに交渉しました。

 

ボンク   「あの、このA-2ですが・・・」

オーナー 「欲しいのか?」

ボンク   「はい・・・」

オーナー 「・・・一か月後に持って帰ってもいいぞ。」

ボンク   「?持って帰って?」

オーナー 「ああ。先月の3倍売上げたら持って帰れ。」

 

次の日からボンクはだれかれ構わず声をかけお店に来てもらいました。

友達、先輩、後輩、先生、親戚、近所の人達。特に後輩はたくさんの人を連れてきてくれました。

一か月後、3倍には届かなかった売上げでしたが、オーナーから「持って帰れ」の一言が。

早く馴染まそうと一か月位は寝る時も着ていました。

どうしたら恰好よく着こなせるか、マックイーンや「メンフィスベル」のビデオ、ロバート・キャパの写真集をボンクは繰り返し何十回も観ました。・・結局ボンクには恰好よく着こなすことはできませんでしたが。

酔っぱらって夜中に学校のプールに忍び込み、服を着たまま友達にプールに突き落とされた時もボンクは「A-2」を着ていました。

当時付き合っていた彼女とケンカをしたとき、窓から「A-2」を放り投げられたこともありました。

夏場、デートの時にショートパンツに「A-2」を着ていき、離れて歩かれたこともありました。

 

就職の面接に「最初のインパクトが大事やねん」「個性を見れへん会社に誰が行くねん」(ボンクの関西弁バージョンです)と訳のわからないことを言いながらスーツのジャケットのかわりに「A-2」を着て行こうとし周囲に止められたこともありました。

 

それほどボンクには大切な革ジャンだったのです。

あれから約20年、たくさんの思い出を作ってくれたボンクの「A-2」。

リブはボロボロになりライニングは擦り切れてリペアに出さないと着れる状態ではありませんが、ボンクはこれからもあえてリペアに出さないでおこうと思っています。

 

(編集者注) これはボンクの革ジャンなどに対する個人的な思い出です。

革ジャンを着たままプールに入ったり、革ジャンを洗濯機で洗ったりはなるべくしない方がよろしいかと思います。

 

思い出がつまった革ジャン.jpg

好きで使える軽いものたち

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最近ボンクの影響でしっかりとした革靴のデザインや作りに魅せられて、本を見たり、実際に手に入れて履いたりして、とても満足しながら、もっと良い靴が欲しいと思っているトロンコです。

 

そんな革靴への情熱も暑さには勝てず、夏になると履いていて涼しげな靴を選んでしまいます。

ボンクは昨夏ジャックパーセルをよく履いていたし、トロンコの場合はビルケンシュトックのロンドンというクロッグにかかとがついたような靴を履きます。

幅が広くゆったりとしているので、涼しいし、見た目も重くありません。

トリッカーズを履くようになって、冬は履かなくなったビルケンシュトックに夏は戻りたくなります。

ビルケンシュトックを履いて歩いていると、裸足に靴底だけつけて歩いているように思えるほど足が自然な形で、一切の無理がかかりません。

足を完全に包み込んでくれる上質なフィット感を感じさせてくれる靴の魅力は素晴らしいけれど、夏はビルケンシュトックの良さを再認識する季節なのだとトロンコは思いました。

 

靴が変わると鞄も変わります。

カッチリとした総革の鞄はビルケンシュトックには合わないし、夏という季節にも合いません。

もう少し軽い布製のトートバッグを使いたくなります。

昔からあるL.Lビーンのトートバッグをトロンコは愛用しています。

オーソドックスなデザインにとても厚く丈夫な生地を使っていて長く使うことができ、頼めば名前なども入れてくれる。

値段は安いけれど、昔からある定番の鞄で、形も全てのトートバックのお手本のような形の鞄は使う喜びもあります。

 

季節によって靴と鞄が変わるように、万年筆ももう少し軽いものを使いたいとトロンコは思いました。

軽い万年筆で最も優れているのはラミーサファリだとトロンコはいつも思っています。

万年筆としては低価格だけど、安い万年筆を使っているという気持にさせないところはL.Lビーンのトートバッグやビルケンシュトックの靴と同じ価値を持っていると、トロンコは思っています。

 

サファリは筆記具や万年筆とは違うカテゴリーのサファリというジャンルだと思えるほど、他のものとは違う、万年筆らしくない独特の存在感を持っています。

ステンレスのペン先は硬いけれど滑らかに書くことができます。

ステンレス自体柔軟性のある素材ではありませんので、これを柔らかく仕立てようとしても無理があって、強い筆圧をかけるとペン先が開いて戻らなくなり、インク出不良の原因となります。

 

それよりもサファリのように潔くステンレスのペン先らしい硬さをもって仕上げられた方が、長くトラブルがなく使えるのではないかと思えます。

他の筆記具メーカーは安くて良いものを作ることがとても上手だけど、それは高級万年筆の安い代替品でしかない。

軽快で気兼ねなく、でもこれが好きで使っていると思える万年筆を目標に作ったらこの値段で作ることができましたという、サファリのような存在の万年筆はとても希少で、服装や持ち物が軽くなる夏の季節に、ビルケンシュトックやL.Lビーンと同じように手に取りたくなるものだとトロンコは思いました。

 

 

 

軽く使えるものたち.jpg

ボンクの贅沢

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ボンクは何年も使っているナイロンのトートバッグに荷物を詰めています。

80年代フランス製スタンスミスにロールアップさせた60年代の古着のデニム、デニムの後ろポケットにはサマーオイルメモノートとペリカンM300、何年着てもよれないグッドウェア製のTシャツ、パテックフィリップのアクアノート。

ボンクの海スタイルです。

 

これからの時期ボンクはよく海を見に行きます、特に目的はありません。

気が向いたら本を読んだり、写真を撮ったり、朝から日が沈むまでひたすらボーっとしたり。

よく行く場所が何か所かあり、その日の気分で場所を選びます。

 

ピンクの海

この場所はよくボンクが写真を撮りにくる場所です。三方を山に囲まれた小さな漁師町で、沖には2つの島が浮かんでいます。

お店もほとんどなく、漁師さんたちが気軽に声をかけてきてくれるのどかな町です。

ここは潮の流れも緩やかで、夏場は風もそれほど吹かず海が荒れることはほとんどない場所です。

その日の雲の量によって変わってきますが、太陽が落ちていくに連れ空がピンクに染まり始めます。この時の空の変化はとても激しく、もう二度と見られない空の模様が次々と過ぎていきます。

そして太陽が海に落ちる前後のほんの数分間、空の色が海に写りこみ海面が一面ピンク色になります。ここへは、このほんの数分間を楽しみに行くのです。

 

バルコニーからの眺め

ここは船乗りなら誰でも知っている世界でも有数の海の難所。

とても狭い海峡にいくつもの小島がありまた大きく湾曲していて、潮流は速く、小島の影響により複雑な流向・流速で、大潮時には流速が10ノットにもなることがあります。

その狭い海峡に浮かぶ小さな島にあるホテルのバルコニーからは、海峡を渡す大きな橋、とても速い潮の流れ、小さい漁船から大型船までたくさんの行き交う船を見ることができるのです。それもすべて目の前で。

週末やバカンスシーズンには橋がライトアップされとても幻想的な景色を味わうことができます。

部屋の窓を開け、夜通し走る船の音を聞きながら眠る。ここでのボンクの楽しみ方です。

 

気に入ったスタイルで海を見ながらボーっとする。ボンクの最高の贅沢です。

 

 

 

ボンクの贅沢.jpg

地図を買って旅に出る

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トロンコはヨーロッパの地図を買いました。

ヨーロッパと言っても中央ヨーロッパのもので、チェコ辺りに中心があり、北欧が入っていないし、スペインも途中で切れています。

でもこの地図を見ていると国と国とが海で隔てられておらず、地続きになっていることがよく分かります。

 

20年ほど前にヨーロッパを分断していたイデオロギーによる境がなくなっていますので、国境をパスポートを見せるだけで通ることができるようになりました。

ある程度の規模の街だと空港があって、ヨーロッパ内の移動でも飛行機の方が断然便利ですが、ヨーロッパ内を旅する人で、車を使う人は今だに少なくないと言います。

もちろん料金的な問題もあってのことかもしれませんが、充実している高速道路網を使って旅をする方が旅情をより味わうことができるからだとトロンコは納得しています。

確かに飛行機で3時間くらいのところを車で丸2日かけて走るとそう思うのは当然だと思います。

 

地図を手に入れたトロンコは、島国を出てヨーロッパを車で旅したくなりました。

トロンコはハンドルを握ると人が変わる方で、それはお父さん譲りの体質です。

前に車がいると抜かしたくなりますし、アクセルの踏みしろが残っているとさらに踏みたくなる。

目標とする距離が長くなれば長くなるほど、スピードを上げて走りたくなります。

 

いくらでもスピードを出すことができるアウトバーンをひたすら走って、国から国を越えていく。

こうやってヨーロッパを移動していると、国と国が密接に繋がり合って、経済や政治そして人々の生活が成り立っているのだと思います。

でも国と国が地続きで協力し合っていたとしても、国境を侵されない注意だけは怠らない。

陸続きであるからこそ、それぞれの国の人たちが自分たちの国のアイデンティティーに誇りを持ち、自分たちらしくいる強さを持っている。

そんなヨーロッパの国々を見ていると、トロンコが住む島国は他の国と地続きになっていないという自然に守られている気楽さからか、国境を守ることに甘さがあると思えるのです。

周りの国とは協力関係を築いて、ともに良くなる努力をしていかないといけないけれど、自分たちの国民らしさ、誇りそして国土は厳格に守るべきものだと思うのです。

 

車の旅では横を向いて景色は見ることができませんが、他の車が目に入ることがあります。

他の車を見ながら、トロンコは車と万年筆について考えました。

車と万年筆は非常によく似ていると常々思っています。

それはともにお国柄が非常によく表れているというところと、それぞれのメーカーのあり方、考え方が万年筆にも車にも存在するというところからですが、車も万年筆も同じくらいの歴史を持っているからなのかもしれません。

 

例えば、モンブランとメルセデス・ベンツ。どちらもステータス性の高いドイツのメーカーで、時代を追うごとにどんどん洗練されていく。

フォルクスワーゲンはペリカンなのかもしれません。

フォルクスワーゲンは、多くのモデルを発売している大衆車メーカーで、ステータスとは程遠い実用車の生産に力を入れている。

万年筆を道具とこだわっているペリカンも用途による大きさの違うモデルを数多く発売しています。

 

トロンコの愛車ポロはペリカンで言うとM400かもしれない。

コンパクトで小回りが利き、ここぞという時にアクセルを踏み込むとそれに応えて本気を出してくれる。

ポロがM400ならゴルフはM800かな。

そういえばフォルクスワーゲンはスポーツカーのポルシェを傘下に持ち、ペリカンはポルシェデザインのペンを作っているのは面白い偶然。

 

イタリアの万年筆メーカーアウロラは同じトリノのフィアットと言いたいところだけどアルファ・ロメオの方が近いかもしれない。

どちらも根強いファンに支えられている。

エレガントでライティングジュエリーと自称するモンテグラッパはフェラーリかマセラッティ。最近シルベスタ・スタローンが筆頭株主になって、その度合いがさらに増してくるのかも。

 

フランスに目を向けると、S.Tデュポンは、他に似ていない車作りをするシトロエンとイメージが重なります。

日本の堅実は筆記具メーカーパイロットはトヨタとキャラクターがカブる。

本業以外でも実績を出して手広くやっているところも似ている。

そんな風にトロンコは大好きな車と万年筆について考えながら、アウトバーンの

長いドライブを楽しむのでした。

 

 

 

 地図を買って旅に出る.jpg

 

 

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