トロンコ靴を誂える

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ボンクの影響で革靴がとても好きになったトロンコは、靴に関する雑誌を見たり、インターネットで靴について調べたりするようになりました。

そして本当に少ないけれど、いくつかの靴を買って気分良く履いたり、手入れを楽しんだりしていました。

 

トロンコは自分の持ち物はなるべくイギリス製のものを使いたいと思っていて、王室御用達のロイヤルワラントを授けられたトリッカーズの靴が自分の好みだと思っていました。

装飾がなくシンプルなものを好むトロンコでしたが、靴の好みは他のものと違っていて、ウイングチップにメダリオンのたくさん入ったようなものが好みだと早い段階で気付きました。

トリッカーズに惹かれたのも、代表作であるカントリーシューズがそのようなデザインだったからです。

形もロングノーズやトゥが尖っていたり角張っているものは、自分にはカッコ良過ぎて似合わないと思っていて、少し丸みのあるポッテリとしたクラシックなものが好きでした。

 

ウイングチップやメダリオンも靴をよりクラシックな印象にしてくれるので好んでいたのかもしれません。

靴屋さんでしつこいほど試し履きをしてサイズを決めるトロンコでしたが、今持っている靴がもう少し自分の足にフィットして欲しいと思っていました。

でも既成靴では決まったサイズの中から一番自分の足に近いものを選ぶしかありませんので、完全にフィットするものを手に入れることはなかなか難しい問題でした。

 

トロンコがよく行って、原稿書きをする港町のバーがあります。

バーには様々な人が来ますが、皆革靴に興味があって、それぞれこだわりを持っています。

「あの店のオリジナルはよくない。」

「あの店でウエストンを買うときついのを勧められる。」とか靴の情報交換もよく話の中で出てきて、トロンコもそれらを参考にしていました。

男たちにとって靴の話は何時間でもできるとても楽しい話なのです。

 

トロンコがなかなか完璧にフィットする靴がないと言うと、皆「それは誂えるしかない。」と口々に言いました。

そんな話の中で、トロンコはフィレンツェの革工房クアドリフォリオのことを思い出しました。

彼らはオーダー靴を主に作っていて、独立したばかりなので値段も安めだけど、腕は良くてとても良い靴を作ります。

そしてどんなものも器用に作る懐の深さもあるので、好みのデザインで作ってくれるのです。

イタリアのスリムなかっこいい靴は似合わないと思っていたトロンコは、イギリス風の靴をオーダーで誂えたいと思いました。

 

久しぶりに再会した2人は、トロンコが訪れたことを心から喜んでくれました。

そして希望のデザインのものを作ると言ってくれたので、用意していた雑誌の切り抜きを見せながら一生懸命説明しました。

ウイングチップにメダリオンがたくさん入っていて、先が少し丸みのあるデザイン。それはどちらかというとイギリス靴に多く見られるものなので、彼らが何と言うか心配でしたが、快く引き受けてくれました。

 

トロンコは靴を誂えるのが初めてで、型紙を取りながら採寸することに慣れていなかったので、少し緊張しながら採寸しました。

でも彼らは当然そんな作業に慣れていますので、トロンコがリラックスできるように話し掛けながら、テキパキと採寸していきました。

 

採寸を終えると、すぐにトロンコの靴作りに取り掛かると言ってくれて、2ヵ月後に仮履きできるものを完成させると約束してくれました。

仮履きでサイズを確定して靴を完成させますが、採寸から完成まで大体3ヶ月から4ヶ月かかるようです。

 

工房を構えてまだ日が浅く暮らしは楽ではないけれど、自分たちが好きなことを生活の糧にできる毎日が、すごく楽しいと二人は言いました。

この人たちのためにも、作品を多くの人に教えてあげたいと思いました。

靴が完成するまで4ヶ月、その日が待ち遠しくて仕方ないとトロンコは思いながら、工房を後にしました。

 

 

 

靴を誂える.jpg

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このブログ記事について

このページは、旅の扉 writing lab blog 管理人が2012年5月29日 16:19に書いたブログ記事です。

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