2012年6月アーカイブ

フィレンツェの美しいペンケース

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オーダーを予定していなかったボンクも靴をオーダーすることになり、トロンコは嬉しい反面、勧めてしまった責任を少し感じていました。

すでにボンクはたくさんの靴を持っていたし、高価なものだけにじっくり考えてからオーダーするべきかもしれないと思ったのです。

でも、その場の勢いと雰囲気にヒョイと乗っかってオーダーしてしまうのがボンクのすごいところだともトロンコは思いました。

 

トロンコの場合、いろんな人の話を聞いて、一人でぐるぐると考えて、やっとオーダーに至ったので、とてもボンクのようにはできないでしょう。

まだ見たことがないけれど、ウエストニューヨークのアパートには靴部屋があるほどボンクはたくさん靴を持っているのです。

でもボンクの粋なところを見ることができてよかったとも思うのです。

 

ボンクはフランスの老舗J.Mウエストンなど有名靴メーカーで何足もオーダーしているだけあって、採寸してもらいながら自分が作って欲しい靴について、クアドリフォリオのご主人と上手に打ち合わせをしていました。トロンコは自分の靴がいったいいくらくらいで出来上がるのかドキドキしていましたが、ボンクは値段の高いクロコを一部分に使ったり、デザインに細かい注文をつけたりしていました。

今まで見たことがなかったかっこいいボンクの一面でした。

 

ボンクの靴の採寸が終わって一息ついていると、クアドリフォリオ夫人がシガーケース型ペンケースを持ってきてくれました。

このペンケースの原型はすでに試作品を何度かやり取りしていましたので、トロンコもボンクも仕様に関しては知っていました。

しかし完成品を見て、トロンコとボンクはそのものに溢れるイタリアあるいはフィレンツェらしさを感じました。

その美しい何色とも言えないような色合いと磨き抜かれた光沢に、二人はこれこそがフィレンツェで作られた革製品だと思ったのでした。

 

この葉巻入れ型のペンケースは二人が今まで見てきたペンケースの中でも最も美しい部類に入るものでした。

フタになる筒と、胴になる筒の入り方の強さ加減は感覚によるところが大きいため、すごく難しいとクアドリフォリオ夫人は説明してくれましたが、クアドリフォリオ夫人が修行していた工房では、シガーケースをいつも作っていましたし、ドイツやフランスの世界的な万年筆メーカーのペンケースも作っていたことがあったそうです。

そんな経験も生かされて、今回のシガーケース型ペンケースが完成したのでした。

 

トロンコとボンクはこの万年筆を大切に1本だけ入れるペンケースを「SOLO(ソロ)」と呼ぼうと決めました。

 

SOLOはこのペンケースに合う万年筆を探して入れたいと思わせてくれるもので、自分にとって特別な万年筆を1本だけ持ち歩くために使いたいと思わせてくれます。

本当に長い時間かかって、何度も試行錯誤したけれど、その甲斐あるものができて本当によかった。

 

トロンコとボンクはクアドリフォリオの工房を後にして、立ち寄ったフィレンツェのレストランで、そのシガーケース型ペンケース「SOLO」に色々な万年筆を入れてみて、それぞれうっとりと眺めていました。

 

 

WRITING LAB. オリジナルペンケース 「SOLO」取扱店

 

*Pen and message. 

 https://www.p-n-m.net/contents/products/WL0007.html

 

 

 フィレンツェの美しいペンケース.jpg

影響力のある大人

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ボンクがトロンコの出来上がったばかりの靴を見ていると、クアドリフォリオのご主人が工房の奥からとてもきれいなワニ革を出してきてボンクに差し出しました。

 

ボンク (ん?これを使って靴を作ろうということかな?)

     

ご主人 (にこにこ)

 

ボンク (・・全然考えてなかったんだけど・・・)

 

ご主人&トロンコ (にこにこ)

 

ボンク (でも、きれいなワニ革だなぁ・・・)

 

にっこり微笑みながら見つめるご主人となぜかトロンコ。2人ともボンクにも靴を作って欲しいようです。

 

ボンクの頭の中で繰り広げられた3秒ほどの葛藤の末。

「え~と・・。じゃあそのワニ革を部分使いしたローファーでお願いします。」

「ありがとうございます」とご主人。

 

そんな事の成り行きに乗ってしまうところもボンクらしいところです。

 

誰にでも影響を受けた人達がいると思います。ビートルズやストーンズの影響を受けてプロのミュージシャンを目指す人のように。

特に何かを目指す訳ではありませんが、ボンクの「モノへのこだわり」もいろいろな人達の影響を受けてきました。

 

そしてボンクはできる範囲で実際に使い、試してきました。

結果、ボンクには合わず失敗したモノ(ボンクはコレクターではないのでしっくりこず使わなかったモノは全て失敗になります)がたくさんあります。

一方では、ボンクなりにしっくりきてずっと使っていきたいと思っているモノもたくさんあります。また今似合わなくても10年後は似合うようになっていたいと思うモノもあります

 

ボンクが今までに最も影響を受けた人は、ボンクが20代の時に勤めていた会社の上司でした。ボンクがいた部署はたくさんある部署のなかでも特に上下関係が重視される封建的な部署でしたが、彼に限っては適度な緊張感のなかで臆することなく技術を磨かせてくれました。調子に乗ったボンクはカミナリを落とされたこともたまにありましたが・・・。

 

歳は40代半ば、とことん仕事をし、とことん遊ぶ、自分が興味のあることは何でもとことんする人でした。学生時代にボンクと同じスポーツをしていたこともあってか、よくボンクの面倒をみてくれたのです。

仕事帰りや出張時はもちろん、オフの日もボンクは色々なところへ連れて行ってもらいました。

 

ボンクが靴に興味を持つようになったのも彼の影響でした。

取引先に行く前には必ず「靴磨いて行けよ」の声が掛かります。ボンクは何百回聞いたことでしょう。

 

彼は甲が高いこともあって既成靴はシルバノラッタンジの靴を愛用していました。会社の自分のロッカーにシルバノラッタンジの靴を常に56足入れていて、仕事が終わるとネクタイを外し、サッと履き替えどこかに消えていきます。

彼から受けた影響は靴だけではありません、仕事に対する姿勢、人との付き合い方、遊び、そして気に入ったものを大切にとことん使うこと。

 

そして確実に言えるのは、彼に魅力がなければ何の影響を受けることもなかったということでしょう。

 

5年後、シルバノラッタンジをサラッと履ければとボンクは思っています。

 

 

 影響力のある大人.jpg

トロンコ靴を誂える・2

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トロンコにとって靴はお洒落のアイテムでも、歩行を快適にする健康のためのものでもありません。
トロンコにとって靴とは「言葉を探すための道具」に近いものでした。
仕事をする前に頭の中でこれから書く文章について何度も考えますが、その文章の核となる部分は家の中で机に向かって考えるよりも、外に出て歩きながら考える方が見つかりやすいと経験的に思っていました。

歩きながら自分の頭の中にある言葉を探して、キーワードが見つかると忘れないようにメモノートに書き留めます。
時には立ったまま延々と文章を書き始めることもよくありますし、言葉が見つかるまで歩きまわりますので、トロンコにとって靴とは言葉を探すための道具なのです。
多くの人が好むようなカッコいい先の尖った靴や細い靴よりも、足にピッタリ合って、何も気にせずに歩ける靴が必要なのです。

ウイングチップにメダリオンがたくさん入っているものを好むのも、デザイン的な好みでもありますが、傷などがあまり気にならないという理由もありました。
トロンコにとってお金をかけて揃える全てのものは、自分の仕事を助けてくれる道具のようなところがあり、靴もその例外でないというところでしょうか。

クアドリフォリオの工房で仮履きをした時、トロンコは今まで履いていた靴と全く違うその履き心地に驚きました。
今まで良いと思っていた靴が色あせて、つまらなく思えるほどクアドリフォリオの靴はトロンコの心に入り込みました。

足を包み込むようなという月並みな言葉しか靴に関しては持ち合わせていませんが、これなら、歩きながらあるいは立ったまま言葉を探すことに集中できると思いました。
靴が出来上がったという連絡をクアドリフォリオのご主人からもらった時、できればボンクも一緒に来て欲しいと言われました。
トロンコは出来たばかりの靴をボンクにも見てもらいたいと思っていましたので、ボンクを誘ってフィレンツェの飛行場で待ち合わせて、久しぶりの再会を喜びながらクアドリフォリオの工房を訪れました。

クアドリフォリオのご主人がトロンコの靴を木箱から出して見せてくれた時、その美しさに二人とも言葉が出ませんでした。
でもそれと同時にトロンコは少し心配になりました。
こんなきれいな靴が自分の足に合って、言葉を探すためのものになるのだろうか。
でも履いてみた感じは仮履きの時の印象と同じ感じ。
靴の中に遊びが全くないので、靴の中で足が動いたり足の出っ張りが当たるようなところもないのでとても快適に履いていられるのでした。


これは万年筆やノートと同じくらい、でもトロンコにとってはそれ以上に言葉を探すための道具になると思いました。
トロンコは言葉を探すため、考えるために最大限の努力をしたいと思っていましたし、それなりの投資もしたいと思っていました。
自分に良い作用をもたらすと思われる本を読むことも、思考を途断することなくそれを紙に綴ることのできる万年筆も、それを記録するノートも何もかも思考して、言葉を見つけて、文章を書くということに向かわせるためのものでした。

トロンコを仕事に向かわせるものに靴が加わったことを喜んで、ボンクが羨望の眼差しで見ていると、革小物の職人であるクアドリフォリオ夫人がシガーケース型のペンケースを二人に見せてくれました。

ボンクも一緒に来て欲しいと言ったのはこのペンケースが出来たからで、ずっと前に二人がフィレンツェを訪れて作って欲しいと言ったペンケースをクアドリフォリオ夫人は時間をかけながら作ってくれていたのでした。


さて、どんな風に仕上がったのでしょうか?

この続きは、また次回。

 

 

靴をあつらえる2.jpg

ボンクのこだわり

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ボンクは靴がとても好きですが、もう一つ靴と同じくらい好きなものがあります。

ベルト(バックルも含め)です。

靴屋さんに行き、色付けをしてもらう靴を購入する時は一緒にベルトも購入し靴と同じ色に染色してもらいます。

服屋さんへ行くことはめったにないのですが、必要に迫られ服屋さんへ行っても、真っ先にボンクはベルトコーナーへ行きます。

気に入ったベルトがあれば「服はあるもので我慢すればいいか」となり、ベルトだけを購入し店を出ることがあります。

またアリゾナやニューメキシコへ行き、インディアンが作っている銀製のバックルを探しに行くこともあります。

ボンクが普段、気に入ってよく使っているベルトやバックルがいくつかあります。

・イタリアにある革製品ブランド(特にベルトに力を入れている)

ここのワニ革のベルトは他のメーカーにはない鮮やかな色付けがされたものもあり、バックルもシンプルなデザインのものが使われているので上品に着けることができます。ボンクのお勧めはパープルです。

またスエードを使ったリングベルトもワニ革同様、鮮やかな色が何色もありカジュアルからドレスまでどんな格好にも合わせることが出来るのでボンクもかなりの頻度でつけています。サイズの自由度がきくリングベルトは特にお勧めです。

・フランスにある革製品ブランド(特にバックに力をいれている)

アフリカ大陸サハラ砂漠西部の遊牧民トゥアレグ族の銀細工を模したバックルで、一点ずつ模様が全く違います。

ベルト自体は、幅が合って穴が2つ(バックル固定用と普通のベルトの穴)開いていれば、他社のベルトでなくても使うことができるので、ボンクはベルトのみを色違いで3色ほど作ってもらい、その日の気分や服装によって使い分けて楽しんでいます。

・インディアン(ナバホ族)の彫金師が作ったバックル

世界中に多くのコレクターを持っている、古い銀貨を使用した伝統的な技法が得意なナバホ族の、ある彫金師が作ったものです。彼の使用する銀貨は18901915年にその当時の造幣局の彫刻部長チャールズ・E・バーバーによってデザインされたBarber Coinsと呼ばれるコインを使用しています。昔の彫金師のように最低限の道具だけを使用し、せかせかせずにひとつひとつ丁寧に時間をかけて作り上げるため作品が非常に少なく、また最近法律が変わり1920年以前のBarber Coinsが使用できなくなったのでもう手に入れることはできません。

落としたり、ぶつけたりしているので傷だらけですが、ボンクが一番大切にしているバックルです。

ボンクが普段身に着けているものや使っているものは、どれも神経質にならずハードに使い倒し、丁寧に手入れをし経年変化も楽しんでいます。

ベルトやバックルもその一つです。

今、ボンクとトロンコはベルトとバックルが作れないかと考えています。

彼らならきっと作ってしまうでしょう・・・

 
ボンクのこだわり.jpg

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