トロンコパリのオープンカフェで

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トロンコはパリを訪れていました。

島国からフランスまでは海峡をひとまたぎ。本当にあっという間についてしまいます。

でもトロンコはフランスを、このパリを訪れたことがありませんでした。

トロンコにとってパリはあまりにもお洒落すぎるし、誰もがかっこ良すぎると思っていました。

そしてあまりに都会すぎる。

でも心境の変化もあって、パリを訪れてみました。

ヨーロッパの大都会の街中独特の細い路地を歩き回りました。

パン屋、雑貨屋、レストラン、あるいは万年筆の専門店など、パリにあるお店はどれもとてもお洒落でそれぞれが世界観を持っている。

どの店も誰の真似もしてない、自分たちが今まで生きてきた経験や美学を表現した素晴らしいお店ばかりでした。

それらのお店はお店の人が仕事を楽しんでいることが伝わってきて、こちらも楽しい気分になります。

街中を歩き回って、セーヌ川岸にある古書の露店街をはしごした後、カルティエ・ラタンのカフェのオープン席でお茶を飲みながら仕事をしようと思いました。

数冊の古書の収穫で重くなった鞄を置いて、カフェのオープン席で一息つきました。

7月のパリは暑い。それでもカフェのオープン席は観光客や地元の常連さんでいっぱいです。

トロンコはまわりにいる人たちを観察しながら仕事を始めました。

一人で本を読む人。数人でおしゃべりする人。

その中でトロンコはある男性が気になりました。

その男性はものすごい集中力で他人を寄せ付けないオーラを出しながら、黒いノートに鉛筆で書き物をしていました。

 

「同業者かな?」

 

同じ仕事をしている人同士は直感で分かりますが、その人は誰が見ても物を書いて生活している人だと思いました。

とても大柄でがっしりした体格で、たぶんアメリカ人だろう。

先ほどギャルソンたちと親しげに話していましたので、常連だと思いました。

優しいタフガイといった感じの顔つき。

どこかで見たことがある人だと思いましたが、トロンコは忘れて自分の文章の中にのめり込んでいきました。

ある程度の目標まで書くことができて、体を伸ばした時にそのタフガイも顔を上げてトロンコの万年筆とテーブルに置いていた持ち物をとても良いねと褒めてくれました。

 

トロンコはその時ボンクと作ったステーショナリーたち、サマーオイルのメモノート、原稿用紙やノートを入れる革封筒、ペンケースSOLO、地図柄のキャパス地のダイアリーカバーなどをテーブルの上に広げていたのでした。

トロンコは新しくできたばかりのメモノートの原稿用紙罫の紙を見せました。

どんどん書き千切っていくメモ用紙に原稿用紙の罫線が入っているのは、不思議な感じがするかもしれませんが、このメモ帳で文章を作るトロンコにとって、ある程度文字数が把握できる原稿用紙罫はぜひ作りたいと思っていたものでした。

少しずつ手を加えて、より良い、面白いものにしていく。

新しいものを作るのも楽しい作業ですが、こだわりを込めてモノを熟成していくのも終わりのない楽しい作業なのです。

アルファベットを書くタフガイにとって、原稿用紙は不要ですが、書く気分を盛り上げてくれる模様の入ったメモ帳として面白いと思ってくれたようでした。

「きみたちのステーショナリーと同じように、文章を簡潔に、でも上質なものを書くように私も心掛けている」とタフガイは言いました。

 

きっと世界中を旅しているそのタフガイもトロンコとボンクに近い感性を持っていると思いました。

タフガイが席を立った時、教会の鐘が鳴りました。「あの鐘は誰のためになるのだろう」とトロンコに言いながら彼は路地に消えて行きました。

 

 

*WRITING LAB. サマーオイルメモノート用替紙「原稿用紙罫」は、近日発売予定です。

 

パリのオープンカフェで.jpg

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このページは、旅の扉 writing lab blog 管理人が2012年7月10日 11:24に書いたブログ記事です。

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