トロンコが踏み出したきっかけ

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今からずっと前、トロンコが真剣に人生について思い悩む若者だった頃、お母さんが病気になりました。
ドクターから余命を宣告されていて、日ごとに弱っていくお母さんを看ながら、トロンコはただなす術もなく話し相手になるために傍にいるだけでした。

お母さんにしてあげられることは何なのかトロンコは考えていましたが、本当に何も浮かばす、一人ではないのだと思ってもらえるようにただ傍にいるしかありませんでした。
強い痛み止めが必要になって、お母さんは正気と夢の間をウロウロしていたけれど、正気になった時にはトロンコに感謝の言葉をかけてくれましたし、トロンコが立派に育ったことを今更ながらも喜んでいました。
でも実際トロンコは自分がお母さんをガッカリさせてばかりで、言うことを聞かない、あまり良い息子ではないことも分かっていました。
でもその時もクヨクヨ考えてばかりで、何の行動も起こせませんでした。

それでもお母さんはトロンコのことを全然心配していなくて、何をしてでもたくましく生きて行ってくれると思っていました。
そんなふうに言葉を交わした後、間もなくしてお母さんは混沌とした意識の中で逝ってしまったけれど、最期にお母さんの傍にいることができて本当によかったと、この時のことを後から考えて思うのでした。
外の世界と一切の関わりを絶ってお母さんの傍にいたのはたった3ヶ月間だけれど、そうやって長い時間一緒にいたのは子供の頃以来で、トロンコにとって今も心の中にある大切な時間だったと思います。
それまで将来に対してただ漠然とした不安を持つだけで、何の行動もしていなかったトロンコはお母さんを見送った後、小さな一歩を踏み出そうと決心しました。


トロンコは子供頃から勉強は嫌いでしたが、本は好きで読んでいました。
お母さんはトロンコのそんなところはいつも褒めてくれました。
勉強やスポーツは苦手で、上手くできることなんてなかったけれど、本をよく読んでいたせいか作文など文章を書くことはとても好きで、上手だと言われることもありました。
文章を書く仕事をしたい。
トロンコが夢中になった本の作者たちのように、それを読む人が夢中になれるものを書きたいと子供の時から思っていましたし、自由に時間を使って、好きな場所に行って、誰にも指図されずに自分の力で生きる作家たちのライフスタイルにも憧れていました。
お母さんとの別れで、トロンコは何もせずにただクヨクヨ考える自分とお別れしようと思いました。


何もしないうちから考え込むのではなくまず行動しよう。そして、それから考えようと思うと、不思議なことにとても軽い気持ちになって、全てのことが大したことがないように思えるようになりました。

それからトロンコはブラリと初めての旅に出たのです。

 


トロンコが踏み出したきっかけ.jpg 

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このページは、旅の扉 writing lab blog 管理人が2012年8月14日 14:34に書いたブログ記事です。

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