2012年9月アーカイブ

ふくらんだ日記帳

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自分の仕事が好きで、いつも仕事のことについて考えている人は文房具が好きな人が多いとトロンコは思っています。

もちろんトロンコ自身がそうですし、ボンクや木工家などの周りにいる人たちも自分の仕事を良くしたいと思っているので、仕事の血液となる本と同じように、文房具について考えています。

 

本が仕事に必要な知識や考え方を得られるものだとすると、文房具は仕事をより楽しくしてくれるものだと思い、行った先々で文房具店を見つけるとつい入って、自分の仕事において改善したいと思っていることの助けとなるものを探しています。

 

いつも行く港町のバーには、トロンコと同じように文房具好きな人が集まります。

大学の先生、作家、俳優、音楽家、経営者、会社員、仕事は様々ですが、皆文房具へのこだわりは相当なもの。

トロンコは、そのバーに行くときは夜遅くまで議論が白熱して帰りが遅くなってもいいように、締め切りがあるものは終わらせておいて、予定も完全に空けておくようにしています。

 

夕方、バーに行くと既に何人かの知っている人がいて、チェリストが最近手に入れた長方形の断面の芯のシャープペンシルについて語っていました。

それはマークシートを一書きで塗れるように工夫されたもので、学生用のとても安価で買うことができるものとのこと。

チェリストはそのシャープペンシルは楽譜を書くのにとても便利だと言っていました。

長辺を五線紙に垂直にして、縦線は細く、横線を太く書くようにすると、ミュージック用の万年筆と同じように使うことができます。

飄々とした彼がそういう学童文具について熱く語るのを見ていて、皆が微笑ましい気持ちになりました。

 

その夜、トロンコはボンクと一緒にクアドリフォリオのご夫妻に作ってもらったペンケースSOLOを皆に紹介しました。

作りのユニークさ、色艶の美しさなど、今までの万年筆を入れるペンケースになかったものを備えているSOLOに皆大いに共感してくれて、大好評。

全員の分を作ることになりました。

トロンコはクアドリフォリオのご夫妻に、革の色付け加工であるパティーヌの色見本をもらっていたので、それを皆に見てもらって、一人ずつ色を決めて行きました。

10色ものフィレンツェのセンスによる色合いは、どれもムラのあるアンティークぽさと透明感を併せ持っています。

それぞれ個性に合う色を悩みながら選ぶのは、とても楽しそう。

そんなみんなを見ているととても幸せな気持ちになり、このペンケースを作ってくれたクアドリフォリオのお二人に感謝しました。

 

このバーでの夜、トロンコが一番心動かされたのは、大学の先生の3年連用日記でした。

彼女は、日頃は持ち歩かないけれど、トロンコにそれを見せるためにわざわざ持ってきてくれたのでした。

3年前からつけ始め今年で終わるというその日記帳は、彼女らしいとてもしっかりとした文字で書かれていて、その時の覚書などメモの類、切り抜きなども貼られていて、3倍くらいの太さに膨らんでいて、ゴムバンドで留められていました。

まずトロンコが感心したのは、その日記帳の製本と装丁の丈夫さでした。

ページは全く外れていないどころか、買ったときのままの状態を保っていて、表紙も痛んでいない。

日本のライフというメーカーのものですが、そのメーカーの仕事に、派手さはないけれど誠実な実直さを感じました。

日記帳の仔細を見た後、彼女のこの日記帳に対した時間を想いました。

3年間、多分いろんなことがあったと思うし、いろんなことを考えたと思います。

研究者としての生活は日々努力の積み重ねの上に成り立っているので、辛いと想うこともあったと思います。

そういった想いが詰まっているその日記帳はとても尊いと思いました。

こういう想いを受け止めるには、ライフのような誠実な製品を作る会社でないと勤まらないのではないかと思います。

そのモノの良さは3年後にしか分らないけれど、その良さを知ると代わりとなるものはきっとありません。

大学の先生の日記帳を見ることができたことはいつまでも忘れないだろうと、トロンコは思いました。

 

夜が更けて、日付が変わりそうな時間、皆それぞれの家路につき始めました。

トロンコは帰りのローカル線の中、優しい気持ちで田園地帯の続く夜景を眺めていました。

 

 

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ボンク日本へ

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しばらくのあいだ日本へ行くことをトロンコに伝えたボンクは、ウエストニューヨークのアパートでボストンバッグに荷物を詰めていました。

少しの着替えと、50mmのレンズを付けたカメラ、カートリッジ式の万年筆を入れたSOLO、そしてサマーオイルメモノート。

持って行くものはこれで十分です。

 

明日の夕方の便でアメリカを出国します。2ヶ月ほど日本を周り、住みたい場所を探そうと考えています。

 

ボンクはどこへ行く時も近くの本屋さんで買った日本のガイドブックを持ち歩き、仕事の合間や移動中、寝る前に読んでいました。

日本に着いたら真っ先にどこへ行こうか。北から南下して行こうか?南から北上して行こうか・・・ここ数週間毎晩そんなことを考えながら、いつの間にかに眠りについていました。

 

そして日本行きを前に、ボンクは久しぶりに丸一日休みをとりニョーヨークの街へ買い物に出かけました。

買い物の目的は旅に持って行くトラベルクロックと日本へ着ていく古着です。

トラベルクロックはポケットにも入るコンパクトな折り畳み式の、開くと立てられる構造の目覚まし時計です。

ボンクは旅だけでなく普段からこの時計を目覚まし時計にしています。

何年も前に旅先の骨董屋さんで見つけたルクルトのトラベルクロックの調子が良くないので修理に出しているのですが、残念ながら今回の旅に間に合いません。そこでボンクは新しいトラベルクロックを探しに出かけました。

アンティークウォッチのお店や時計屋さんを何軒も回りましたが 良いものはとても高価だったり、価格が手頃なのは状態が良くなかったり、デザインがイマイチで、結局使いたいと思うものが見つかりませんでした。

ボンクは将来トラベルクロックも自分たちで作れればと思いました。

 

ボンクがよく行く13番街の古着屋さんには、1930年代からの高価なヴィンテージから比較的最近の古着まで程度の良いジーンズが豊富にそろっています。そのお店でボンクは1960年代のLeeのジーンズを、またブルックリンの古着屋さんでは程度の良いブルックスブラザーズの三つボタンの紺のジャケットを購入しました。

 

本当は寅さんのようなジャケットを探していたのですが、トラベルクロック同様結局見つからず、日本の仕立て屋さんにイメージは寅さんでもう少し恰好よくアレンジしたものを作ってもらおうかと思っています。

寅さんのような旅はできませんが気分だけは寅さんで日本を楽しもうと思っています。

 

 

 

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インクケースを作る

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トロンコとボンクは、シガーケース型ペンケース"SOLO"の出来栄えにとても満足していて、早く次のモノ作りに取り掛かりたいと思っていました。

実は二人は、ペンケース"SOLO"のアイデアをクアドリフォリオのご夫妻と話し合った時に、もうひとつのアイデアについても話していて、試作品の完成を待っているところだったのです。

 

"SOLO"を自分にも作って欲しいという話を、トロンコとボンクがそれぞれ聞いてくるので、ご夫妻は今年の夏たいそう忙しく働いていました。

二人はいつも8月を丸々バカンスに充ててカプリ島に行ったりしていましたが、今年は工房からほとんど外に出ることがなかったようです。

 

それでもご主人は真っ黒に焼けていたので聞いてみると、ご主人だけは何度かビーチに出掛けていたとのことで、それを聞いてトロンコとボンクはご主人らしくて嬉しくなりました。

モノも作って欲しいけれど、息抜きもしてもらいたいといつも思っていたからです。

 

ペンケース"SOLO"に続くトロンコとボンクのプロジェクトは、インクケースでした。

愛用している四つ葉のクローバー色のインクをスッポリとかっこ良く、面白く収めることが出来るケースを革で作ることができたら・・・。

トロンコとボンクのそういう無邪気な思い付きを、クアドリフォリオの二人は、とても良い感じで実現してくれるのは分かっていましたが、いつも試作品を見るまではドキドキしています。

 

色んな話をした後、ご主人が忘れていたとばかりに奥さんに合図をして、「それ」は出てきました。

ほぼ完璧な精度の八角形の箱が仕上がっていて、トロンコとボンクは何度も何度もふたを開け閉めしたり、手触りを確かめたりしました。

すごく良いものが出来上がって、トロンコもボンクもとても幸せな気分になりました。

普通はボトルインクをケースに入れたりはしないのかもしれませんが、本当にこだわって使っているものだから大切にしたいと思う。

そして、こういうものが自分の机の上にあればいいなというものをひとつずつ実現したいと思う。

トロンコとボンクはいつも面白いと思うことを探していて、このインクケースもそのひとつなのです。

 

しかし、ボンクの日本移住計画には、トロンコも大変驚きました。

でも、寅さんの映画の世界観を感じることができる日本に住みたいというボンクの気持ちも大いに分かるし、トロンコも魅力に感じています。

トロンコも日本移住について少し前向きに考えてみようかと思いました。

 

*WRITING LAB.オリジナルインクケース「CADDY」は、9月15(土)16(日)の、イル・クアドリフォリオのPen and message.でのイベントで発表致します。

 

 

 

インクケースを作る.jpg 



ボンクの日本移住計画?

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トロンコともの作りを始めてからボンクは日本へ行く機会が多くなりました。
始めはもの作りのためだけでしたが、空き時間を利用しいろいろなところへ行き、いろいろな人達と出会ううちにもっと日本を知りたいと思うようになってきました。

最近ボンクは「男はつらいよ」という日本の映画をよく観ています。
テキ屋稼業を生業とする「フーテンの寅」こと車寅次郎が、何かの拍子に故郷の葛飾柴又に戻ってきては何かと大騒動を起こす人情喜劇シリーズで、毎回旅先で出会った「マドンナ」に惚れつつも、失恋するか身を引くかして成就しない寅次郎の恋愛模様を、日本各地の美しい風景を背景に描いている映画です。

 

観始めた頃、ボンクは寅次郎のことを「自分勝手でなんてセンスのない恰好をした男なんだろうか」と思って観ていましたが、回を重ねるごとに純粋で人情味あふれる寅次郎とこの映画の世界観に惹きつけられていました。

寅次郎はボンクににとって理想の旅人です。寅次郎のような旅は現実的にはなかなかできませんがいつかこんな旅ができればとボンクは思っています。

 

なかなかニューヨークを離れられなかったボンクでしたが少し落ち着いたので日本のどこかの街を拠点にして日本をゆっくりと見て回ろうと計画をしています。

 

トロンコにはまだ話してませんがトロンコを誘ってみようと思っています。

 

 

日本移住計画?.jpg

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