バーにて

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尾道に滞在して3週間がたちました。ボンクは相変わらず民宿のマスターや彼の友人たちと、ほぼ毎晩尾道の飲食街に繰り出しています。

 

最近ボンクは皆と食事をしたあと、尾道から少し離れた場所に在るバーに通っています。

バーのマスターは元外国航路の船乗りで、店内は船のブリッジの中をイメージして造られています。

こじんまりとした店内には、所々にセンス良く飾られているマスターが船乗り時代に船上から撮った世界中の港や海の風景写真、チャート(海図)テーブルを利用したバーカウンター、カウンターに敷かれたチャート(航海用海図)、チャートの上に置かれている井上式三角定規(船乗りが使う三角定規)とデバイダーに鉛筆と消しゴム、本棚には気象海象などの航海用資料、チャートテーブルを照らす少し暗めの照明。

このバーに入ると、これから自分が夜間航海のワッチ(当直)に入るような気分になり、お酒で酔うよりも先に雰囲気に酔ってしまいそうになります。

マスター自慢のバーカウンターは、実際に大型船で使われていた奥行がありとても広いチャートテーブルをいくつか横に並べカウンターにしています。チャートテーブルの下側は何段ものチャートを入れる引き出しが付いていて、引き出しの中には世界中のチャートが入っています。そしてテーブルにはマスターが船乗り時代に実際に自分の手でコースライン(針路)や船位を測った印を書き込んだチャートが敷かれています。

40代後半のマスターは初めて店に入ってきて興味津々に店内を見渡すボンクに、柔らかい口調で冗談も交えながら店内のこだわりのモノを一つ一つ説明してくれました。

 

中でもボンクが一番興味を持ったのは、マスターが鉛筆削りに使っているナイフと、とてもきれいに削られた三菱の鉛筆でした。

鉛筆の究極は「6Bの黒さで9Hの硬さで滑らか」なものだそうです。

つまり、深みのあるしっかりとした黒色と折れにくい硬い芯を両立させ、且つ滑らかな書き心地のもの。これを作ることはとても難しいことなのだそうです。三菱鉛筆社はこの究極を追求し、究極に限りなく近い製品を生み出した数少ない会社の1つなのだそうです。

海図にコースライン(針路)や船位を書き込む時は基本鉛筆を使い、はっきりとしたラインや数字を入れる。荒天航海で横揺れが激しい時には必ず転がってテーブルから落ちる。 滑らかにはっきり書け、且つ強く、ストレスなく使える鉛筆が三菱だったそうです。

 

そしてよく使いこまれたナイフ。マスターが使っているナイフはDOUKDOUKというフランスのもので日本の肥後守と構造もデザインもそっくりです。どちらが先なのかはわからないそうですが100年前から構造も変わらずフランス軍にも採用されているそうです。

ボンクはこのバーでマスターとの会話を楽しみながら「レッドアイ」「ホルステン」「コロナ」を順番に飲み一日の終わりを過ごしています。

そして行くたびにマスターの使いこまれたナイフや鉛筆を見ながら次のものづくりを考えています。

 

よし、トロンコを尾道に呼ぼう!

 

 

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このページは、旅の扉 writing lab blog 管理人が2012年10月16日 11:09に書いたブログ記事です。

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