尾道のバーで久しぶりに再会したトロンコとボンクは、バーのマスターや数人のお客さんを巻き込み、時間を忘れひたすら話し続けていました。
ボンクが勢いでその場その場で思い付いたことを適当に喋り、トロンコがマジメな顔をして冗談で脱線させながらも冷静に話を整理しながらまとめる。
いつもの二人のやりとりです。ボンクは久しぶりのトロンコとのそんなやりとりがとても心地よく、改めてトロンコがいる心強さを感じていました。
ちなみに女性と会話をするときもトロンコはマジメな顔をしてサラッと冗談を言いながら独特な熊の色気を放ち女性を楽しませています。得ですね。
ボンクはたまにふとトロンコのことを考えることがあります。
なぜいつも冷静なのだろうか?
冷静に見えるだけで実は何も考えてないのだろうか?
ベストはいつ頃から着ているのだろうか?
なぜ少しぎこちない歩き方をするのだろうか?
そしてなぜあんなに歩くのが早いのだろうか?
なぜラムコーク一口で酔うのだろうか?
なぜあんなに食べるのに太らないのだろうか?
そもそもなぜあんなに食べるんだ?
あんなに食べる必要があるのか?
など
ボンクがこのバーに通い初めてから、いつの日からかお客さん達がバーに自慢の持ち物を持ってきて入手した経緯や思い出を話してくれるようになっていました。
この日はあるお客さんが珍しいエルメスのデスクマット、ブロッター、メモボックス、そしてティッシュケースのステーショナリーセットを、また違うお客さんがかなり年季の入ったアンティークのグッチのデスクマット、メモパッド、ブロッター、ペントレー、レターナイフのステーショナリーセットを二人に見せに来てくれました。
エルメスのステーショナリーセットは会社を継ぐ記念にお客さんの父でもある先代の社長からプレゼントしていただいたものだそうです。店頭にはほぼ置かれてなく、世界中の直営店から集めてもらったそうです。木と革を組み合わせデザインが統一されたステーショナリーセットはトロンコもボンクも、その美しさにしばらく見惚れていました。
グッチのステーショナリーセットも、どれも初めて見るとてもセンスの良いデザインで、革はかなり劣化はしているもののしっかり作り込まれたものであることはわかります。
これらのステーショナリーセットは正直そうそう売れるものではないと思います。もしかしたらほとんど売れないかもしれません。
資金力がある大きい会社だからこそお金をかけ遊び心で作れるのかもしれませんが、こういったものを良い材料を使いお金をかけ真剣に作っている。
資金面、技術面などハイブランドと同じようなことは二人には決して出来ませんが、遊び心や真剣さでは決して劣らないのではないかとボンクは思っています。 当然トロンコも思っているはずです・・・
代々受け継がれ100年、150年と使えるものを考え、作っていく。
想像するだけで夢が膨らむボンクです。
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