朝起きて雨が降っていると気が滅入ります。
お気に入りの靴ではなく、雨用の長靴を履かなくてはならないからです。
好きな靴は気持ちを良くしてくれますし、何となく背筋が伸びてシャンとさせてくれる。
ただのファッションかもしれないけれど、それは外見だけでなく、自分の内面にも作用しているようで、トロンコは服装の中でも靴には特にこだわっていました。もちろんイギリス紳士のトロンコは、あまり傘をさしません。
お気に入りの靴を履いて町に出掛ける、理想の生活を手に入れて楽しい日々を繰り返すようになって数年が経ちました。
トロンコ自身は変わりはなく、欲を出したり、怠けたりしなければずっとその生活ができると思っていました。
でもトロンコが変わらなくても、世の中が動くことがある。
低調ながらも安定した雰囲気がトロンコの住む国を始め、世界中に漂っていても、その時代は突然終わることがあります。
安定はそれほど長くは続かない。
世界が同時に不況に陥る原因は金融市場によるものがほとんどで、トロンコが住む町の人たちには全く関係がない。
どんなに景気が良いと言われていても金融の恩恵を受けたことなど誰一人ありませんでした。
恩恵は金融の世界の中で分配されるのに、都合の悪いことが起こるとその恩恵を受けたことのない人も巻き込まれる。
それが世界同時不況です。それは本当に理不尽なことだと思うけれど、中央から一番遠い端から、例えばトロンコの住む町の人の生活から脅かされ始めます。
町から少し離れた所に数年前リゾートホテルが出来ました。
この辺りでも最も見晴らしの良い場所で、このホテルからゴルフに行ったり、湖に行ったりすることができ、いろんな遊びをすることができました。
最寄りの都市から3時間以内で訪れることができることもあって、なかなか賑わっていました。
町の人たちの中にはリゾートホテルで働く人もいました。
リゾートホテルで決められた時間働くと毎月同じ収入を得ることができました。
しかし、そのリゾートホテルの繁栄は10年しか続きませんでした。
世界同時不況が起こり、それは町のリゾートホテルも直撃しました。
リゾートホテルを経営している都会の会社は撤退を決め、働いていた人たちは解雇されてしまいました。
だんなさんが働きに出て、奥さんが支えていた家業では家計を支えることはできず、雑草だらけになってしまった農地を再び耕す気力もなく、多くの人が町を離れていきました。
トロンコが町に出るたびに立ち寄っていたお店の中にも、それでやめてしまったところがありました。
寂しくなった町を歩きながらトロンコは自分に理想の暮らしをもたらしてくれた、この愛すべき町を元気にしたいと思い始めました。
まず何から始めたらいいのだろう。
きっとこれはトロンコ一人では、とても手に負えることではないと思いました。
そうだボンクに声を掛けてみよう。
きっと今も世界のどこかで、写真を撮りながら旅しているボンクのことを思い浮かべながら、トロンコはボンクに手紙を書きました。
さて、今回のお話しでお分かりでしょうか・・?今月のブログテーマは「靴」です。さすがトロンコ、さらっと触れましたね。
次回の靴マニアのボンクに期待しましょう。
コメントする