店のオープン

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内装の件は、ボンクがトロンコに譲ることになりました。

大きな本棚を背面に、大きなウォールナットの机置いて、二人がそこでそれぞれの仕事をしている。

お客様はそこに遊びに来るような感覚。

トロンコとボンクが今何に興味を持っていて、何をしているかを知ってもらうこともできるし、気に入った商品を見つけて買って帰ることもできる。

その店は二人の遊び部屋であり、書斎であり、お客様をお迎えする応接間になったりします。

シンプルで飾り気のないシェーカー家具は年月を経るごとに、磨くごとに光沢を増すと思います。近くの大工さんが大急ぎで仕上げてくれたオーク材の床も皆の革靴に磨かれて変化してくれるだろう。

そんなイメージをしながら二人は大量に入荷した商品を家具に並べていきました。

 

前日から開店当日は結局徹夜になってしまったけれど、店が出来上がった喜びはとても大きく、表に出て嬉しそうに二人で眺めていました。

本当に店を開けたらお客様が来てくれるのかドキドキしていましたが、二人はなぜか上手くいくことしか考えていませんでした。

すぐに開店時間になって、お客様が次々とやって来られましたし、開店を祝う花束もたくさん届きました。

ほとんどの人がトロンコかボンクの顔見知りでしたが、それでもよかった。

お客様が来てくれていることがとても嬉しく、二人は次々と来られるお客様の応対に追われました。

忙しい一日はあっと言う間に感じられるほど早く終わり、二人はヘトヘトに疲れて、早く休みたいと思いました。

二人はこれからもこんな日がずっと続くのかもしれないと思うとげんなりしましたが、忙しい日も3日程で終わりました。

来られるお客様が減って、誰も来店されない日も珍しくなくなりました。

もしかしたらこのまま誰も来ないのではないかと、そして何も売れないのではないかと心細く思う反面、いつかきっとお客様がまた大勢来てくれるという希望はなぜか二人とも持っていました。

前の日に誰も来なくても、その日に誰も来ない予感がしても二人は掃除だけはしておこうと思いました。

せっかく来られたお客様に不愉快な想いをさせたくないし、ここは二人の部屋なのだからきれいにしておきたい。

掃除が終わると、二人は満足げに外からお店を見てから、中に入ってそれぞれの仕事に向かうことが習慣になっていました。

絶対にお店は上手くいくと思ったけれど、一人きりでなくて本当によかったとトロンコは思いました。

ボンクが一緒にいて、励ましてくれるから何も恐れずに店をすることができているけれど、もし一人だったら下手を打ってしまうかもしれなかった。

お客様を呼びたい一心で開店の時とても素晴らしかったお店がコンセプトを崩していろんな物を置きだして、どんどん崩れていくのをトロンコもボンクもたくさん見てきましたので、それだけはしてはいけないと思っていました。

 

お店が動き出したのは、開店して2か月ほど経ってからでした。

たまたまお店の前を通りかかったご婦人が入ってきて、とても良い店だと褒めてくれました。

ご婦人はボンクの勧めるファーバーカステルのパーフェクトペンシルを旦那さんのお土産に、アウロラオプティマの万年筆をご自分用に買って帰りました。

ご婦人は次の日も来てくれました。

今度はご主人と一緒で、ご主人は前に日に奥様が買われた万年筆がとても書きやすかったので、自分のものも欲しくなったのです。

トロンコはご主人にアウロラ88クラシックを勧めました。

金のキャップでいかにも男性的な万年筆をこのご主人なら気に入るだろうと思ったからでした。

座ってゆっくり試書きしてもらって、ご主人が嬉しそうに88を買いたいと言ってくれた時、トロンコもとても嬉しかった。

お客様が良い買い物ができたと思った時、お店の人はもっと嬉しいということをトロンコは初めて知りました。

その後もご婦人はお友達を連れてきてくれたり、お店をお知り合いに教えてくれたりして、二人のお店の宣伝をしてくれました。

 

トロンコとボンクのお店「WRITING LAB.」はこういう風にお客様方に助けられていくのだと二人は思い、開店の日に早く休みたいと思ったことを反省しました。

 

トロンコ11月.jpeg

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このページは、旅の扉 writing lab blog 管理人が2013年11月 5日 12:58に書いたブログ記事です。

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