理想の万年筆

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今月のテーマはY田女史の提案による「理想の万年筆」です。それぞれが理想としている万年筆について語ります。

各人、長く万年筆を使ってきているので期待できるテーマではないかと思います。

 

私の理想としている万年筆は、1本で細くも太くも書け、手帳にも宛名書きもできて、インクがどんな紙にもにじまず水に流れない。そして落としてもペン先が曲がらず、キャップを開け放しにしていてもペン先が乾かない、どう扱ってもボロくならないものだと言うのはウソで、色々な制約があるから万年筆が好きなのかもしれません。

きっと最新のテクノロジーが組み込まれた、今まで万年筆の弱点だと言われていることを全て解決したものが発売されたとして、そういうものに魅力を感じるかどうか、少なくとも私はそういう万年筆を欲しいとは思いません。

どうしようもない弱点や扱い方のコツがあって、それがあるから愛しい存在で、私たちはそこからいろんなことを教えられているような気がしています。

それでもいろいろな工夫や歩み寄りをすることによって、少しでも理想に近付けることができるのが万年筆の良いところで、そういうところからも私たちは人生において大切なことを教えられていると思っている()

万年筆の最大の特長、多くの人が万年筆を使いたいと思う理由はその書き味にあるというのは、ほぼ正解だと思います。

そのボールペンとは全く違う、それぞれの万年筆によって個性がある書き味に私たちは惹かれています。

その万年筆の持つ書き味を最大限引き出して、制約のある中で使う人の好みや書き方に合わせるのが、私がしているペン先調整で、私は実はそれぞれの人においての理想の万年筆を具現化しようとしていると思っています。

私の理想の書き味は、ペンポイントを紙に置いた時にインクがフワッと出てくれて、引っ掛かりなく、スルスルと書ける状態で、インク出は多すぎず、どちらかと言うと必要最低限の出る量です。

インク出は少ないけれど、線は途切れることなく書くことができるもの。

そういうペン先はルーペで見ても美しく、形良く整って、切り割りは隙間なく揃っています。

万年筆をお預かりして、一通りの作業をした後に、「ちょっと書いてみて下さい」とお渡しする時はこの状態で、全てのペンをそのように調整したいと思っているけれど、中にはお客様の要求がその状態からほど遠い人もいて、その時はそれは自分の万年筆ではないと、自分に言い聞かせながら調整しています。

しかし、本当に理想的な書き味は、ペン先調整ではなかなか実現することは難しく、ペン先調整で整えたペン先を3年ほど書き慣らさないとその最高の状態にはならないので、私の調整にも課題はあるけれど。

理想の万年筆というテーマがありながら、私の文章は理想のペン先調整のような内容になってしまいましたが、どんな万年筆もこのペン先調整で万年筆は理想的なものにすることができると思っています。(Y)

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このページは、旅の扉 writing lab blog 管理人が2015年12月 1日 10:07に書いたブログ記事です。

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