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30代最後のクリスマス

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今ボンクは神戸にいます。神戸の街はいたるところクリスマスイルミネーションで飾られ、幻想的な街を家族連れやカップル達が楽しそうに行き交っています。

ボンクは2年連続、神戸でクリスマスを過ごすことになります。そして、ボンクの正面にいる相手も2年連続、トロンコさんです。30代最後のクリスマスをトロンコさんと・・・、決して楽しくないのではありません。

ボンクはトロンコと約束した時間よりも少し早めに待ち合わせ場所の喫茶店に着き、コーヒーを飲みながらトロンコと再会してからのこの一年を振り返っていました。

 

長年1人で世界中を歩き回り写真を撮り続けてきたボンクでしたが、いつの日からか、何を目的に写真を撮っているのかがわからなくなり、カメラを手に持っていてもファインダーをのぞくだけでシャッターを切ることもしない日々が続いていました。

そんなボンクを変えたのがトロンコとの再会でした。

 

この1年、トロンコは常にボンクと同じ目線で真剣に話し合い、真剣に楽しみながら一緒にもの作りをしてくれました。また、もの作りが思うように進まなくても、ストレスを感じずボンクが一生懸命になれる雰囲気もトロンコはつくってくれました。

All for One」、ボンクが学生時代にしていたスポーツでよく耳にした言葉です。

誰の力も頼らず、何事も1人で考え、チャレンジし、ときには耐え、その結果自分の思い通りになった時、喜びは独り占めです。それはそれで楽しいでしょう。ボンクも一時はそうでした。

All for One」、1年間トロンコともの作りをしながら、なんとなく思い出した言葉です。

かけがえのないパートナーだと思えたからこそ、なんとなく思い出せたのかもしれません。

 

何を目的にもの作りをしているのか?それは正直わかりません。今わかっていることは、トロンコとのもの作りが、只々楽しいということです。

目的はこれから何年もかけてトロンコと見つけていけば良いのではないかとボンクは勝手に考えています。

 

間もなく待ち合わせの時間です。今日は一日ゆっくり出来ます。

30代最後のクリスマス、トロンコとどこへ行こうかな・・・、久しぶりに二人に厳しい女店主がいるペンショップにでも行って怒られてくるかぁ。

 

ボンクなりに一生懸命になれた1年でしたが、一方でボンクはこの1年、家族の体調不良や、ボンク自身の体調不良でトロンコにたくさんの迷惑をかけてしまいました。

が、ボンクはトロンコに迷惑をかけて悪かったとは思っていません。トロンコもそんなふうに思われるのは嫌だと思います。

ただ、一つだけボンクはトロンコに心の底から思っていることがあります。

それは・・・「本当にありがとう」 です。

 

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情熱

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トロンコとボンクのもの作りにおいて、絶対に欠かすことができない人たちがいます。

それはトロンコとボンクが使いたいものや、作りたいものを仕上げてくれる腕の良い職人さんたちです。

いくら二人がアイデアを出し合っても職人さんたちがいなければ、もの作りは前に進みません。

また、腕の良い職人さんたちと知り合っても、二人の思いが伝わらなければ、これもまたもの作りが前に進みません。

思いを伝えることは簡単なことではなく、何か月、時には何年もかかることがあります。実際ボンクは、インディアンの有名作家に4年がかりで思いを伝えアクセサリーを作ってもらったことがありました。

 

トロンコに見せた新しい革製品を作ってくれた革職人さんもそうでした。

彼は鞄作りを専門にしています。腕はとても良いのですが、普段は工房に来るお客さんに対しても口数は少なく決して愛想が良いとは言えない職人です。

 

しばらくの間はお互いの様子を見ながらでした。初めはコミュニケーションをとり少しでも距離を縮めることを目的にボンクは彼の工房に足を運んでいましたが、次第にボンクの目的が彼が作った鞄や小物、そして作業風景を見に行くことに変わっていました。

ただ鞄や小物を見ているだけで楽しく、特に会話は無くてもよいのです。

 

彼はお客さんにゆっくり時間をかけて見てもらえるように、わざと口数を少なくしこの雰囲気を作っているのかもしれません。

時間が合えばたまに食事をしたり、時には朝までお酒を飲みながらボンクは、彼なりのこだわりや彼がこれから作っていきたいものを聞き、またボンクたちが作って欲しいものなどいろいろな話をしました。

 

彼と出会ってから約1年半、口数が少なく、トロンコとボンクのアイデアになかなか首を縦には振ってくれませんが、少しずつ二人の情熱が伝わってきているような気がしています。

職人さんだけでなく、上司や部下、友人や家族、恋人、好きな人など言葉だけでは伝わらないことが多々あります。言葉だけで思いを伝えられる方が少ないかもしれません。

ボンクはすぐに思いを伝えようとはしません。時間をかけ相手のことを知り、自分のことを知ってもらう。必ず情熱は伝わると思っています。

 

 

 

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久しぶりの再会

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尾道のバーで久しぶりに再会したトロンコとボンクは、バーのマスターや数人のお客さんを巻き込み、時間を忘れひたすら話し続けていました。

 

ボンクが勢いでその場その場で思い付いたことを適当に喋り、トロンコがマジメな顔をして冗談で脱線させながらも冷静に話を整理しながらまとめる。

いつもの二人のやりとりです。ボンクは久しぶりのトロンコとのそんなやりとりがとても心地よく、改めてトロンコがいる心強さを感じていました。

ちなみに女性と会話をするときもトロンコはマジメな顔をしてサラッと冗談を言いながら独特な熊の色気を放ち女性を楽しませています。得ですね。

 

ボンクはたまにふとトロンコのことを考えることがあります。

 

なぜいつも冷静なのだろうか?

冷静に見えるだけで実は何も考えてないのだろうか?

ベストはいつ頃から着ているのだろうか?

なぜ少しぎこちない歩き方をするのだろうか?

そしてなぜあんなに歩くのが早いのだろうか?

なぜラムコーク一口で酔うのだろうか?

なぜあんなに食べるのに太らないのだろうか?

そもそもなぜあんなに食べるんだ?

あんなに食べる必要があるのか?

など

 

ボンクがこのバーに通い初めてから、いつの日からかお客さん達がバーに自慢の持ち物を持ってきて入手した経緯や思い出を話してくれるようになっていました。

この日はあるお客さんが珍しいエルメスのデスクマット、ブロッター、メモボックス、そしてティッシュケースのステーショナリーセットを、また違うお客さんがかなり年季の入ったアンティークのグッチのデスクマット、メモパッド、ブロッター、ペントレー、レターナイフのステーショナリーセットを二人に見せに来てくれました。

 

エルメスのステーショナリーセットは会社を継ぐ記念にお客さんの父でもある先代の社長からプレゼントしていただいたものだそうです。店頭にはほぼ置かれてなく、世界中の直営店から集めてもらったそうです。木と革を組み合わせデザインが統一されたステーショナリーセットはトロンコもボンクも、その美しさにしばらく見惚れていました。

 

グッチのステーショナリーセットも、どれも初めて見るとてもセンスの良いデザインで、革はかなり劣化はしているもののしっかり作り込まれたものであることはわかります。

これらのステーショナリーセットは正直そうそう売れるものではないと思います。もしかしたらほとんど売れないかもしれません。

資金力がある大きい会社だからこそお金をかけ遊び心で作れるのかもしれませんが、こういったものを良い材料を使いお金をかけ真剣に作っている。

 

資金面、技術面などハイブランドと同じようなことは二人には決して出来ませんが、遊び心や真剣さでは決して劣らないのではないかとボンクは思っています。 当然トロンコも思っているはずです・・・

 

代々受け継がれ100年、150年と使えるものを考え、作っていく。

 

想像するだけで夢が膨らむボンクです。

 

 

 

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バーにて

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尾道に滞在して3週間がたちました。ボンクは相変わらず民宿のマスターや彼の友人たちと、ほぼ毎晩尾道の飲食街に繰り出しています。

 

最近ボンクは皆と食事をしたあと、尾道から少し離れた場所に在るバーに通っています。

バーのマスターは元外国航路の船乗りで、店内は船のブリッジの中をイメージして造られています。

こじんまりとした店内には、所々にセンス良く飾られているマスターが船乗り時代に船上から撮った世界中の港や海の風景写真、チャート(海図)テーブルを利用したバーカウンター、カウンターに敷かれたチャート(航海用海図)、チャートの上に置かれている井上式三角定規(船乗りが使う三角定規)とデバイダーに鉛筆と消しゴム、本棚には気象海象などの航海用資料、チャートテーブルを照らす少し暗めの照明。

このバーに入ると、これから自分が夜間航海のワッチ(当直)に入るような気分になり、お酒で酔うよりも先に雰囲気に酔ってしまいそうになります。

マスター自慢のバーカウンターは、実際に大型船で使われていた奥行がありとても広いチャートテーブルをいくつか横に並べカウンターにしています。チャートテーブルの下側は何段ものチャートを入れる引き出しが付いていて、引き出しの中には世界中のチャートが入っています。そしてテーブルにはマスターが船乗り時代に実際に自分の手でコースライン(針路)や船位を測った印を書き込んだチャートが敷かれています。

40代後半のマスターは初めて店に入ってきて興味津々に店内を見渡すボンクに、柔らかい口調で冗談も交えながら店内のこだわりのモノを一つ一つ説明してくれました。

 

中でもボンクが一番興味を持ったのは、マスターが鉛筆削りに使っているナイフと、とてもきれいに削られた三菱の鉛筆でした。

鉛筆の究極は「6Bの黒さで9Hの硬さで滑らか」なものだそうです。

つまり、深みのあるしっかりとした黒色と折れにくい硬い芯を両立させ、且つ滑らかな書き心地のもの。これを作ることはとても難しいことなのだそうです。三菱鉛筆社はこの究極を追求し、究極に限りなく近い製品を生み出した数少ない会社の1つなのだそうです。

海図にコースライン(針路)や船位を書き込む時は基本鉛筆を使い、はっきりとしたラインや数字を入れる。荒天航海で横揺れが激しい時には必ず転がってテーブルから落ちる。 滑らかにはっきり書け、且つ強く、ストレスなく使える鉛筆が三菱だったそうです。

 

そしてよく使いこまれたナイフ。マスターが使っているナイフはDOUKDOUKというフランスのもので日本の肥後守と構造もデザインもそっくりです。どちらが先なのかはわからないそうですが100年前から構造も変わらずフランス軍にも採用されているそうです。

ボンクはこのバーでマスターとの会話を楽しみながら「レッドアイ」「ホルステン」「コロナ」を順番に飲み一日の終わりを過ごしています。

そして行くたびにマスターの使いこまれたナイフや鉛筆を見ながら次のものづくりを考えています。

 

よし、トロンコを尾道に呼ぼう!

 

 

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素敵な酒場

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日本に入国して10日が経ちました。ボンクはなぜか尾道という街ににいます。東京から汽車を乗り継ぎ、安宿に泊まりながらたどり着きました。

 

尾道に来た目的は特になく、東京でたまたま乗った汽車が西の方へ行く汽車で、なんとなく西へ向かって乗り継ぎ、なんとなく降りたところが造船の街、尾道でした。ボンクの旅はいつも目的がありません。訪れる先々で街の雰囲気が気に入れば写真を撮りながらしばらく滞在します。

 

尾道は今日で5日目です。たまたま泊まった民宿の主人と気が合い、主人の仕事が一段落した夜遅くから尾道のこじんまりとした飲食街(飲み屋街)に繰り出します。
たいていの町には飲食街があります。飲食街の規模が大きくなればなるほど人も多くなり、都会のように大きな繁華街になり過ぎると、お客さんを確保するために次から次へと新しいサービスが生まれ、お店も街も様変わりしていき風情がなくなっていきます。また、人が少なすぎると店が少なくてつまらない。

 

繁華街になり過ぎずそれでいて密度が濃い、ボンクが感じた尾道の飲食街(飲み屋街)の印象です。

道なのか、ただの店の裏なのかわからないくらいの細い道が迷路のように入り組んでいて、この先に何があるのか確かめたくなり奥へ奥へと進んで行く。

何十年も続いているお店も多く、凝った造りのテラスが付いた古びたスナックや、緑やオレンジの妖しい光を放つ古びた看板。昔ながら花街の風情が残っています。

 

また、造船の街でもあり、カウンターの向こうに各国の洋酒が所狭しと並んでいるバーでは、世界中を航海する大型船の船員、地元の小さな漁船の船員、造船所で働く人達との会話を楽しむこともできます。

ボンクは民宿の主人に初めて連れてきてもらってから、この酒場の雰囲気がとても好きになりました。

この酒場のデザインの一部でもある、テラスをもつ古びたスナックや、妖しい光を放つ古びた看板も妙な美しさがあります。

 

ボンクは尾道にしばらく滞在することにしました。この酒場で働く人たちやお酒を飲みにくる人たちと交流しながらたくさんの写真を撮ろう思っています。

 

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ボンク日本へ

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しばらくのあいだ日本へ行くことをトロンコに伝えたボンクは、ウエストニューヨークのアパートでボストンバッグに荷物を詰めていました。

少しの着替えと、50mmのレンズを付けたカメラ、カートリッジ式の万年筆を入れたSOLO、そしてサマーオイルメモノート。

持って行くものはこれで十分です。

 

明日の夕方の便でアメリカを出国します。2ヶ月ほど日本を周り、住みたい場所を探そうと考えています。

 

ボンクはどこへ行く時も近くの本屋さんで買った日本のガイドブックを持ち歩き、仕事の合間や移動中、寝る前に読んでいました。

日本に着いたら真っ先にどこへ行こうか。北から南下して行こうか?南から北上して行こうか・・・ここ数週間毎晩そんなことを考えながら、いつの間にかに眠りについていました。

 

そして日本行きを前に、ボンクは久しぶりに丸一日休みをとりニョーヨークの街へ買い物に出かけました。

買い物の目的は旅に持って行くトラベルクロックと日本へ着ていく古着です。

トラベルクロックはポケットにも入るコンパクトな折り畳み式の、開くと立てられる構造の目覚まし時計です。

ボンクは旅だけでなく普段からこの時計を目覚まし時計にしています。

何年も前に旅先の骨董屋さんで見つけたルクルトのトラベルクロックの調子が良くないので修理に出しているのですが、残念ながら今回の旅に間に合いません。そこでボンクは新しいトラベルクロックを探しに出かけました。

アンティークウォッチのお店や時計屋さんを何軒も回りましたが 良いものはとても高価だったり、価格が手頃なのは状態が良くなかったり、デザインがイマイチで、結局使いたいと思うものが見つかりませんでした。

ボンクは将来トラベルクロックも自分たちで作れればと思いました。

 

ボンクがよく行く13番街の古着屋さんには、1930年代からの高価なヴィンテージから比較的最近の古着まで程度の良いジーンズが豊富にそろっています。そのお店でボンクは1960年代のLeeのジーンズを、またブルックリンの古着屋さんでは程度の良いブルックスブラザーズの三つボタンの紺のジャケットを購入しました。

 

本当は寅さんのようなジャケットを探していたのですが、トラベルクロック同様結局見つからず、日本の仕立て屋さんにイメージは寅さんでもう少し恰好よくアレンジしたものを作ってもらおうかと思っています。

寅さんのような旅はできませんが気分だけは寅さんで日本を楽しもうと思っています。

 

 

 

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ボンクの日本移住計画?

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トロンコともの作りを始めてからボンクは日本へ行く機会が多くなりました。
始めはもの作りのためだけでしたが、空き時間を利用しいろいろなところへ行き、いろいろな人達と出会ううちにもっと日本を知りたいと思うようになってきました。

最近ボンクは「男はつらいよ」という日本の映画をよく観ています。
テキ屋稼業を生業とする「フーテンの寅」こと車寅次郎が、何かの拍子に故郷の葛飾柴又に戻ってきては何かと大騒動を起こす人情喜劇シリーズで、毎回旅先で出会った「マドンナ」に惚れつつも、失恋するか身を引くかして成就しない寅次郎の恋愛模様を、日本各地の美しい風景を背景に描いている映画です。

 

観始めた頃、ボンクは寅次郎のことを「自分勝手でなんてセンスのない恰好をした男なんだろうか」と思って観ていましたが、回を重ねるごとに純粋で人情味あふれる寅次郎とこの映画の世界観に惹きつけられていました。

寅次郎はボンクににとって理想の旅人です。寅次郎のような旅は現実的にはなかなかできませんがいつかこんな旅ができればとボンクは思っています。

 

なかなかニューヨークを離れられなかったボンクでしたが少し落ち着いたので日本のどこかの街を拠点にして日本をゆっくりと見て回ろうと計画をしています。

 

トロンコにはまだ話してませんがトロンコを誘ってみようと思っています。

 

 

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夏の思い出

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ボンクには3才年下の弟がいます。小さい時はよくけんかもしましたが、ボンクは弟のことがとても好きでよく連れまわしていました。

 

ボンクと弟の遊び場は近くの公園でした。その公園にはグローブを持って行けばいつでも野球ができるくらいたくさんの友達がいました。まだ小さくルールもわからないため仲間に入れてもらえないボンクの弟も、転がるボールをみんなに文句を言われながら追いかけていました。

 

ボンクと弟にはこの公園でもう一つの楽しみがありました。

それは、毎週日曜日にトラックでやって来るホットドック屋さんで、優しいおじさんが一人で焼いていました。

いつもお母さんの目を盗んではお菓子ばかり食べていた弟はとくに楽しみにしていました。

日曜日ボンクと弟はお母さんにホットドック2つ分のお小遣いをもらい、公園で遊んだ帰り、おじさんが売っているホットドックを食べながら家に帰ります。

 

ある夏の日曜日、いつものようにホットドック2つ分のお小遣いをお母さんにもらい弟を連れ近くの公園に遊びに行きました。その日はとくに人が多く、野球をしているボンクの横で弟の目は常にホットドック屋さんに向いていました。

人が多いときは早い時間にホットドックが売り切れてしまうことを弟は知っていたのです。

弟はボンクを急かせましたが野球に夢中になっているボンクには届きませんでした。

そして野球が終わった頃には、ホットドック屋さんの車はなかったのです。

 

帰ってしまったホットドック屋さんの前で泣きながら座っている弟を見たとき、

子供ながらボンクは初めて弟に「なんてかわいそうなことをしたんだ・・・」と思いました。

ボンクは泣いている弟の手をとり家に帰りお母さんに手伝ってもらいながらボンクお手製のホットドックを弟に作ってあげました。

今から30数年前の夏の出来事ですが、ボンクはふと思い出すことがあります。そして今でも申し訳なかったという気持ちがこみ上げてきます。

 

そんなときは遠く離れている弟に電話をします。

「元気でやってるか?」ボンク

「おぉ、元気やぞ」弟

 

何気ない会話をしながらもボンクは心の中で「あの時はすまなかった」と思っているのです。

 

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ミュージシャンの後ろ姿

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ある事情でボンクはしばらくの間ニューヨークを離れることができませんでした。仕事もほとんど手につかず何もできない自分にイライラしながら毎日を過ごしていました。あまりというかほとんど後ろを振り返ることがないボンクですが、この間はいろいろな後悔がボンクの頭の中をぐるぐる回っていました。

そんな中たくさんの人達がボンクを支えてくれました。

 

ある日、ボンクとよく一緒に仕事をしてくれているミュージシャンから電話がありました。

少年院の慰問の仕事が入ったので気分転換になるかもしれないから一緒に行かないかというのです。

彼はテレビやライブの時だけでなく家族や友人の前でも決して弱音をはかず、いつも前だけを向いて歌い続けていますが、いろいろな問題を抱えていることをボンクは知っています。

 

あまり気が乗らなかったボンクでしたが近場ということもあり撮影の準備をし、一緒に向かいました。

リハーサル中、彼はたいていリラックスして歌っています。周りにいるスタッフもリラックスさせているのです。そんな雰囲気のリハーサルの間にボンクも構図や光の量などを確認しながらテスト撮影を繰り返し本番に臨みます。

いつもリハーサルにあまり時間をかけない彼ですが、この日は違いました。何度も何度も音を確認し、いつものリラックスした雰囲気はなくピリピリとした表情がレンズ越しに見えます。

 

彼が思う良い音がなかなか出ないのです。シャッターを切る音、呼吸でさえも気をつかいます。

音響設備がしっかりしているところでもなければ、いろいろな制約があるため大掛かりな機材を持ち込めるところでもありません。

その中で必死に良い音を探している彼に声をかけられる者はいませんでした。

監視する教官達が何人もいる堅い雰囲気で始まったライブを彼は曲と曲との間に柔らかいMCを挟みながら徐々に空気感を変えていきます。

曲が進むにつれ子供達に笑顔が出てきました。知っている歌を口ずさむ子も出てきました。突然ある一人の子が手拍子をしだしました。

周りにいる子達にも広がっていきます、最後は教官達にも広がり会場は一つになりました。なぜこの子達はここにいるのかなど関係なく、とても感動的な場面を見せてもらいました。

 

あの場所で最初に手拍子をすることはとても勇気がいることだと思います。しかし一人の子の勇気がなければ感動も生まれなかったと思います。勇気を出させ感動を起こす、普段めったにピリピリすることのない彼がなぜそうなったのかを理解できた気がしました。

 

彼は時に何千人と集めるプロのミュージシャンですが、あるときボンクにポツリと言ったことをボンクは時々は思い出します。

「たとえ会場に誰一人お客さんが入ってなくても最後までステージに立って思いっ切り歌う。スタッフでもいい、聞いてくれる人が一人でもいるなら」と。

もしそんな日が来るのならボンクはその場にいたいと思っています。

トロンコとのもの作りも一人でも共感してくれる人がいる限り続けていければと・・・

 

あっ、トロンコのことを忘れてました。

トロンコも当然ボンクを支えてくれた一人で、ボンクが何も考えられない、何もできない間いろいろなことを考え、行動してくれました。

トロンコはあまり感情を表に出しません、あえて言葉にもしません。

ボンクはわかっています。冷めているのでもなく言葉足らずでもないのです、トロンコなりの優しさなのです。

たぶん、きっと・・

 

 

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特別なサマーオイルメモノート

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 休みがあまりとれないボンクにとって、たまの休日はのんびりできる大変貴重な時間です。そんなこれからの時期、ボンクは休みの度に海へ出かけます。目的は特にありません。

トートバッグにカメラ、読みかけの文庫本、サマーオイルメモノートに万年筆、そしてペットボトルのコーラ(ニューヨークのビーチではアルコールが禁じられているので)、これだけあれば1日過ごせます。

 

今回の目的地はボンクが住むウエストニューヨークのアパートから車で1時間強の、砂浜が延々と続くジョーンズビーチ。

ボンクはここのボードウォークから見る砂浜と海がとても好きで、一人で来るときは、持ってきた折り畳みの椅子に座り、コーラを飲みながら本を読んだり、原稿のネタを書き留めたり、眠くなれば昼寝をしたりしています。

 

ボンクはいつものようにメモをしようと鞄から黒の革表紙のサマーオイルメモノートを取り出したのですが、なぜか気分がのりませんでした。

何故なのか色々考えてみると、真っ青な空の下で白い砂浜や青い海を見ながら書くメモノートの表紙が黒だったからなのだと思いました。

ささいなことですが、何か思考の邪魔をされているような気分になります。

以前からボンクは季節やその日の気分、服装で表紙を替えれたらと思っていました。きっとその方がメモノートの楽しさも増すはずです。

 

そこでボンクは、その場ですぐにフランスを旅しているトロンコに電話をしました。

 

ボンクはリザードやワニを使った表紙を作りたいとトロンコに伝えました。色も素材感もTPOに合わせて表紙を付け替えて使うのだ、ということも。

するとトロンコも同じように思っていたらしく、話はとても盛り上がりました。トロンコはすぐにイタリアにいるクアドリフォリオの二人の工房へ戻って選んでくると言ってくれました。

 

ボンクの希望通りの革はあるのでしょうか?

またトロンコのメモノートはどんな仕様になるのでしょうか?

 

ボンクは自分のメモノートよりトロンコのメモノートの方が楽しみです。

 

 

特別なサマーオイル.jpg

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